お金持ちのスケジュールは余白だらけ...モナコ移住で変わった「時間の使い方」
2023年07月25日 公開
モナコ在住の起業家プロデューサーで美容家のエミチカさんは、以前はタイトなスケジュールを組んで、必死に仕事に取り組んでいたと言います。しかし、モナコに移住してからのエミチカさんは、ゆったりとした、充実の時間を過ごすことにシフトチェンジ。そのほうが長い目で見て、人生設計をより豊かなものなるというという、その理由とは?
※本稿は、エミチカ著『結局、「手ぶらで生きる女(ひと)」がうまくいく』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
大事なのは「Have to do」より「Want to do」
時間には、2つの種類があります。
一つは、やるべきことをやらなければならない「Have to do」の時間。もう一つは、やりたいことをする「Want to do」の時間です。
私は50代の大部分を、仕事一辺倒で過ごしてきました。1日に何件もの商談の約束を入れたり、眠る時間を移動時間に使ったりして、ジグソーパズルのピースを埋めるように、タイトなスケジュールを組んでいました。
そのため、お客さんと話しているのに、次のアポイントの時間が迫ってくると気になってそわそわしてしまったり、スマホをちらちら見たり、ダブルブッキングをしてお客様にご迷惑をおかけしたり...。
美容商品を扱っているので、自分の美容にも気を配らなければならないのに、タイトなスケジュールに疲れ果てて、メイクも落とさずホテルのベッドに倒れ込む日も数えきれないほどありました。
その時期の時間は、「Have to do」だけで埋まっていました。「やらなければならないこと」が、次の「やらなければならないこと」を生み出し、毎日がギリギリの綱渡り。「もっとできる」「やらなくちゃ」「期待に応えたい」と必死になっていたのです。
当然、新しいアイデアが出てくるような余裕も、一人でゆっくり考えるゆとりもありません。トラブルが起きないように、一つでも多くやるべきことが終わるように、必死にこなしていく...。そんな時間の過ごし方をしていました。
もっと家族に寄り添いたい。
子どもたちとゆっくり過ごしたい。
リフレッシュするために旅に出たい。
疲れがたまっている体のケアもしたい。
やりたいことはたくさん。でも、できない。
「Have to do」の時間を詰め込むことでビジネスはうまくいっていたし、社会的にも成功者として認められつつありました。
でも、正直なところ、全然幸せではありませんでした。スケジュールはいつも埋まっていたけれど、それは充実感とはかけ離れた苦痛となって、私に覆いかぶさっていました。
「Want to do」の注意点
モナコに移り住んでからの私は、日本にいた頃とは打って変わって、とても充実した時間をゆったり過ごしています。
朝は、モナコ大聖堂の鐘の音を聞きながら、朝日を浴びて散歩します。8時なら8回鐘が鳴るので、時計を持つ必要もありません。
昼はカフェのテラス席で、太陽の光や爽やかな風を感じながら楽しいおしゃべりの時間を過ごします。一人で過ごすときは、スマホや雑誌を見ることなく、美しい景色をただ眺めたりして静かな時間を過ごしています。
豊かな自然と対話し、心に潤いを与えるようにゆるやかな時間を過ごしているうちに、生きているこの瞬間を「幸せ」と思えるような時間の使い方ができるようになりました。
そのため、心から「やりたい!」と思えることにはどんどんチャレンジできるようになり、想像もしていなかった冒険の日々が続いています。
フランスのカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いたり、大好きなモロッコを旅したり、世界中のセレブが集まる華やかなパーティーに参加したり...。
それができているのは、人や世間の評価、価値観に振り回されず、自分のアンテナが「好き」と反応した方向に、素直に足を進めていくことを心がけてきたから。
つまり、「Have to do」を減らして、「Want to do」の時間を増やしていったのです。
「Have to do」と 「Want to do」。この2つは、真逆です。
みなさんの日々はどうですか? スタッフとのミーティング、仕事相手との食事会、ビジネスのアポイント、家事や育児のこまごまとした雑事など、気がつけば毎日が「Have to do」の予定でびっしりになっていませんか?
それに加えて、家族や友人と過ごす楽しいひとときや、一人きりのリラックスタイムなど、「Want to do」の予定を組み込もうとしていたら、なかなかハードな時間割になってしまうことは簡単に想像できます。
「Have to do」と「Want to do」。この両方を、無理にでも予定に詰め込もうと思い始めたら要注意です。
隙間なく埋まったスケジュール帳を眺めると、充実しているような気分になりますが、実際は違います。充実感は、時間の余裕があってこそ感じられるものです。
「楽しいな」「嬉しいな」「心地いいな」。
こういった「快」の感覚は、ゆったりとした時間の余裕があって初めて味わえるものです。「こうすれば充実するだろう」と狙って得られる感覚ではありません。
残念なことに、「Want to do」の時間も、詰め込みすぎればやがて「Have to do」の時間に変わってしまいます。それに、欲張ってスケジュールを詰め込みすぎると、どこかで大きな落とし穴が待っています。体が悲鳴を上げたり、心が壊れてしまったり、希望を感じられなくなったりするかもしれないのです。