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生き方

なぜか分かり合えない「嫌な同僚へのストレス」が消える一つのコツ

和田秀樹(精神科医)

2024年01月09日 公開 2024年12月16日 更新

 

「それもそうだね」とひと呼吸置いてみよう

あなたがリラックスしてつき合える人は、自分の考えを押しつけたりはしません。でも、なにもしゃべらないという意味ではありません。いろんな話をしてくれるし、ときには自分の意見もはっきり口にします。

それに対して、あなたはいつも賛成するわけではありません。ときには「わたしは違うと思うな」と反論することもあります。

そういうときでも、自分の意見に固執しないのがあなたをリラックスさせる人です。「それもそうだね」とか、「なるほどなあ」「そういう考え方もあるね」といった柔らかい受け止め方をします。

こういう態度はものすごく大事なことです。自分の意見はあくまで1つの見方。他人の意見もまた1つの見方。その場で決着をつける必要はありません。おたがいに「そういうこともいえるかなあ」と思うのでしたら、とりあえずウヤムヤなままに終わらせて困ることはありません。

自分の優位性にこだわる人は、このウヤムヤというのが苦手です。はっきり白黒の決着をつけたがります。もちろん黒(負け)はイヤですから白(勝ち)にこだわります。ここで押し合いが始まるのです。

ところが「それもそうだね」といわれると押し合いも引き合いも始まりません。いわれたほうは自分の意見をとりあえず聞いてもらえたので、ひとまず満足するからです。「でもまあ、この人のいってることもわかるんだ」と気持ちが穏やかになります。

「それもそうだね」というのは、どんな場面でも使えることばですね。嫌いな相手がなにをいおうが、たしかに「それもそうだね」です。でも、ときと場合によってはそんな理屈は認めるわけにいきませんから、「そんなことあるか」と反論しています。この反論がうまくいかない要因です。

 

引くことはかんたん、少しも疲れない!

押されれば押し返すのが感情の法則のようなものですから、引かれれば引いてしまうのも「感情の法則」です。

気の合わない相手でも、あっさり「ゴメン」といわれれば「そんな、謝るようなことじゃないよ」と受けるのがわたしたちです。

自分の意見を主張してくる相手だって、「それもそうだね」とか「なるほどなあ」といったかんたんな相槌を打ってもらえば、あえてその意見にこだわる気持ちはなくなります。少なくとも、頭ごなしに反対されるより対抗心はなくなるでしょう。

したがって、感情的になりやすい人は「引く技術」を覚える必要があります。これはとてもかんたんだし、しかも疲れません。押したり押し返したりは疲れますが、相手を許容して自分をすっと引いてしまえば、それで相手も押さなくなるのですから楽なのです。

それに結果は同じなのです。なぜなら、押し合いになっても決着はつかないでしょう。おたがいに感情的になってしまえば、自分の意見に固執して聞く耳をもたないのですから、引き分けです。腹立たしさだけが残って、結局、なんの進展もありません。おたがいにすっと引けば、これも引き分けです。でも腹立たしさは残りません。

しかもおたがいの長所を取り込んで、よりベターな結論を出すことができます。

「じゃあ、きみのやり方をまず試してみて、うまくいかないようならわたしのやり方に変えてみよう」
「じゃあ、A社の交渉はきみに任せるとして、社内の説得はわたしがやってみよう」

そういった、ひとまずの結論が出せるのです。たとえ暫定的でも、一歩前進することができます。押し合いばかりしていると、むりやり感情的な結論を出すこともありますから、それに比べればはるかにましということです。

 

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