職場にいる威圧的な人や、先輩からの嫉妬を恐れて無駄に腰を低くしていませんか? 自分を「みんなよりも低い存在」だと思い込んでいる方は要注意です。心理カウンセラーの大嶋信頼さんが、そんな悩みを解決するテクニックを教えます。
※本稿は、大嶋信頼著『「自己肯定感」が低いあなたが、すぐ変わる方法』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。
自分が属している集団の自分の位置関係を確かめる
私は、子どものころから「人に上下関係をつけちゃいけません!」と道徳的に教えられてきました。
「みんな平等! そして人のことを見下してはいけません! 誰のことでも尊敬しなければなりません!」と言われて、真面目にそれを信じて実践してきました。
学生時代には「人のことをバカにしたり、見下しちゃいけない!」と思っていつも腰を低くしていたのに、友達からはバカにされて蔑まれているように感じていました。
そして私は「ダメなんだ、みんなよりも低い存在なんだ」と、自己肯定感が低くなってしまったんです。
仕事をするようになって他人と接したときに、「この人は仕事ができない!」とフッとよぎっても「この人にもいいところがあるに違いない!」と一生懸命に尊敬しようとします。
すると、仕事ができない人からもバカにされるようになり、「自分は誰にでもバカにされるダメ人間」と、ますます自己肯定感が低くなってしまうんです。仕事ができない人からバカにされて蔑まれて、自己肯定感が低くなっていると、気がついたら自分も仕事ができない人になっていたんです。
どんどん自己肯定感が低くなって、どん底になっていたときに「え〜い! 上下関係は解禁!」と自分の中で禁じていたものを使うことにしました。
「職場の能力のランキング〜! パッパカパ〜!」という具合に10人いたら10位から1位までランキング形式で正直に出してみたんです。
それまでは「みんなそれぞれ能力を持っていてすごいな!」という感じでお茶を濁していたのですが、ランキングをつけてみてびっくり! なんと自分が上司とタイの1位だったんです。
「え〜? 自分って結構傲慢なのかも?」と思ったのですが、そのランキングのまま仕事をすると面白いことが起きました。「下の連中に越されないように!」と仕事をがんばるようになったのです。
さらに「絶対に追いつけないようにしてやろう!」と思って仕事をしていると「どんどん自己肯定感が高くなっている!」という感じで、誰に対しても物怖じしなくなっていきます。
それまではビクビクしていて「偉そうにしている人には怖くて近づけない!」となっていたのですが、まったくそれがなくなって対等に話せる自分がそこにいました。
相手がいくら偉そうにしていても、自動的に私の中で相手を含めた人のランキングをつけてみると「私のほうが上!」となって、実際にその態度で仕事を進めたほうがスムーズに進むから不思議でした。
これまでは「謙虚に振る舞わなければ、みんなから嫌われて仕事がうまくいかなくなる」と思って思いっきり腰を低くしていたのに、「え〜?ランキングをつけたほうが仕事はうまくいくの〜!?」というのには我ながらびっくり。
ランキングが下の相手に「抜かされた!」と思ったら、そこから自己肯定感が下がって努力ができない、なんてことがなくて、「負けないぞ!自分がどんどんバージョンアップされる!」という具合になりました。
そして、ランキングを下につけたからといって、別に相手を見下したりしない自分もいて「へー!」と思ったんです。今では、自己肯定感が低いから人のことをバカにしたり見下したりするだけなんだ! ということがはっきり実感できます。
自己肯定感を高める方法
自己肯定感が高ければ、人のことを見下したりはしません。
以前のように、ただなんとなく腰を低くしていた自分のほうが、心のどこかで相手を軽蔑してバカにしていたような気がするのですが、そのごちゃごちゃした感情が一切なくスッキリしていて、身軽でどんどん自己肯定感が高くなっていくんです。
ある役者さんが「役者部屋に偉い役者さんたちがいると萎縮しちゃって、その後の演技がうまくいかなくて困っている」というお話をされていました。
緊張しちゃって、本番でドキドキしちゃって「自分の実力が全然出せない!」となって「仕事がなくなるかも!」という不安に駆られてしまうんです。
そこで「役者部屋をイメージしてみてください!」と役者さんにお願いします。そこにいるメンバーを確かめてみると7名いました。
そして「7名の演技力、役者の魅力ランキングを今ここでつけてみましょう!」ということをお願いしたら「え〜? そんなことできませんよ〜! 私が一番下なはずだから〜!」とおっしゃったんです。
そこを無理やりランキングをつけていただくようにお願いすると、「やっぱり私が一番下のランクになっているんですけど!」との答え。
そこで「今度は正直に誰の目も気にしないでランキングをつけてみましょう!」とお伝えすると「え〜? 正直にですか?」と言いながらランキングをつけてもらうと「あれ? 私って自分が上から2番目だと思っていた!」となります。「へ〜!」と私はちょっとうれしくなります。
「先輩たちからの嫉妬が怖くてあえて自分を低くしていた」→「それをやるから先輩たちが威圧的な態度を取ってきてうまく演技ができなくなっていたんだ!」ということに気がつきました。
その後「あ! 謙虚に振る舞わなくていいんだ!」とうれしそうに帰っていきました。
そして、次のカウンセリングのときに「先輩たちが気を遣ってくれるようになって、本来の自分の演技ができるようになりました!」と教えてくださいました。
ランキングをつけることで、下の人たちが気にならなくなり、上だけを目指していけるのです。すると、自己肯定感が高くなって、先輩を超えて、いつの間にかファンクラブが立ち上がっていて、という具合に周りも変化していったんです。
"正直にランキングをつけてみよう!"は、自己肯定感を簡単に引き上げてくれるんです。