作家の有川真由美さんは「人を変えるのは、小さな習慣の力」だと語ります。私たちが一瞬一瞬、積み重ねていく言葉や行動は、心の習慣になっていくのです。本稿では書籍『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』より、"感情の整理ができて、上機嫌で過ごせる習慣"をご紹介します。
※本稿は、有川真由美著『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』(毎日新聞出版)を一部抜粋・編集したものです。
行きたくない誘いは断る
「誘いを断るのが苦手」という人は多いのではないでしょうか。
私もそうでした。会社の飲み会や、友人からのイベントの誘い、ビジネスランチ会など、つい「OK」と言ってしまったもののずっと気が重い。当日も憂鬱な足取りで向かう......なんてことがありました。
「断ると相手に悪いから」「せっかく誘ってくれたから」と相手の気持ちに応えようとして、自分自身を苦しめてしまうのです。
私が断れるようになったのは「自分の心地いいこと」をいちばんに考えるようになったから。そして「断っても、ほとんど問題がない」ということがわかったからです。
断るときは一瞬、少しの勇気がいりますが、あとは気がラクです。
「自分がいないと相手ががっかりする」と考えるのは、少し傲慢な考え方かもしれません。相手は、それはそれで楽しく過ごす力があるのです。
人間関係が壊れることもありません。むしろ正直でいるほうが、つきあいもラク。断るくらいで関係にヒビが入るなら、さほど重要な関係ではないのでしょう。
行きたくないこと、やりたくないことに「NO」と言う習慣ができると、人生が劇的にラクになります。ほんとうは、あれこれ理由をつけず、「したくないから」という理由でじゅうぶんなのです。
自分には自分の都合があり、相手には相手の都合があります。「声をかけてくれてありがとう」と丁寧に「NO」を言う。相手を誘うときも、プレッシャーを与えず、無理をさせない。断られても気にしない......そんな心地いい関係になりたいものです。
1日1回、「ひとり時間」をもつ
人は、ひとりになる時間をもたないと、自分ならではの考え方ができなくなります。
だれかと一緒にいる以上、どんなに愛する家族であっても、気心の知れた友人や同僚であっても、「ここではこうしたほうがいい」とだれかの影響を受け続けています。
ひとりの時間は、自分を解放して、本来の自分を取り戻す時間なのです。「いつもだれかがいて、ひとりになる時間がない」と言う人ほど、1日1回、10分で15分でも、「ひとり時間」をもつことが大事。それがないと、自分が求めていることと現実のズレがでてきて、無意識にイライラするようになってきます。
「ひとり時間」には、ルールはありません。なんの気兼ねもなく、好きなことを考え、好きなことをしていい時間。あらたまって時間がとれない人は、お風呂時間、通勤時間、散歩や筋トレをしている時間などを、「ひとり時間」にしてもいいでしょう。
なにかをしていても、ひとりだと頭はなにかしらぐるぐる考え続けていて、自然に「ひとり会議」を開いているはずです。今日あったことを「あれでよかったのかなぁ」と振り返ったり、明日やることをあれこれ考えたり、ふとだれかのことを心配したり。
頭のなかを整理しながら、自分が満足して、幸せになる道を模索しています。
私はよく「ほんとうのところ、どうしたいの?」と自分に問いかけます。「新しい仕事を引き受けるかどうか」「つぎの連休はなにをしたいのか」「あの人に会いたいのかどうか」というように。すぐには答えがでなくても、あるとき「そうだ! 私はこうしたいのだ」という納得する答えが天から舞い降りてくるのです。
自分のことはわかっていそうで、いちばんわかっていないのかもしれません。「ひとり時間」で自分を取り戻したら、人と一緒の時間も大切に思えてくるはずです。
布団のなかでは、いいことだけを考える
昼間にどんなイヤな出来事があっても、夜、布団に入るときは、まずはつぎの言葉を呪文のようにつぶやいて、負の感情をパッパッと払いませんか?
「今日も1日、ありがとうございました」
「眠る」ということを、軽視してはいけません。人間には約37兆個の細胞があり、骨も皮膚も血液も内臓も、日々少しずつ入れ替わっているといわれます。古い細胞から新しい細胞へのリニューアルが行われるのは、とくに深い眠りのとき。よくないことを考えていると、おだやかに眠ることを阻害されてしまいます。睡眠不足やストレスは、新陳代謝や免疫を低下させるのです。
寝る直前に「なにを考えているか」が重要なのは、健康の側面だけではありません。この時間に考えたことは、いいことであれ、そうでないことであれ、眠っている間、"無意識"のなかに刻み込まれて、考え続けています。日頃の行動の97%は無意識から生まれているといいますから、「あなたはこんな人だよ」「こうなるよ」と自分に暗示をかけているようなものです。
しかし、これを逆に利用すると、簡単にプラスの暗示をかけることもできます。私は「こうなったらいいな」という幸せなことだけをイメージする。自分の気持ちがわからないときは、「ほんとのところ、どうしたいの?」と問いかけながら眠りにつく......という習慣を実践してから、不思議なほど目的が実現するようになりました。
だまされたと思ってやってみてください。1週間ほど続けると、自然に考え方が明るくなり、行動が積極的になっていることに気づくはずですから。