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夏井いつきさんが教える、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」

夏井いつき(俳人)

2025年01月07日 公開

夏井いつきさんが教える、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」


写真:御厨慎一郎

テレビ番組などで大人気の俳句の先生こと夏井いつきさんは、「俳句を始めると人生が楽しくなる」といいます。

「日々起こること、出会うものすべてが『俳句のタネ』になって、人生から『退屈』という言葉や、『暇だ』とか『つまらない』なんて時間は、どこかに吹き飛んでしまうんです」

その言葉に心を動かされた俳句の"ど素人"である編集者が、夏井いつきさんに弟子入りすることになりました。本稿では、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」について教えてもらいました。

※本稿は、夏井いつき著『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

 

俳句を始めると人生が楽しくなる

世界一わかりやすい俳句の授業

K:夏井いつき先生の俳句の授業、いよいよ始まりました! 私、俳句の「は」の字も知らない"ど素人"ですが......、夏井先生に弟子入りさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

夏:こちらこそ、よろしくお願いします。それにしても、Kさん、どうして俳句をやってみようと思ったの?

K:そうですね......。社会人になって十年弱、毎日充実はしているのですが、なんとなく単調で、どこか心満たされぬ思いがありまして......。

夏:あらあら。

K:そんなあるとき、テレビを観ていたら、「俳句には人生を楽しくする力がある」と熱く語る夏井先生が目に飛び込んできたんです。私、その姿にくぎづけになりまして、「やってみたい!」と思ったんです。

夏:なるほど。確かに、私の人生、これまでいろいろありましたが、喜びも怒りも悲しみも悔しさも、すべて俳句に変えて生きてきましたね。たとえ悲しいことやつらい出来事があったとしても、それを俳句にして自分の外に出すことで、大変さや心の痛みも昇華できるの。そんな不思議な力が俳句にはあるんです。

K:俳句の不思議な力......。

 

車が横転したことも「俳句のタネ」に!

夏:たとえば昔のことだけどね、車を運転中に後ろから追突されて、車ごと横転したことがありました。そんなときでさえ、救急車を待ちながら、「指で〇作りてわらう星月夜」って一句作っていたからね(笑)。

K:す、すごいですね!

夏:いろいろなことが起これば起こるほど、「俳句のタネ」が増える。そう考えられたら、ものすごくトクした気分になるよね。だからね、私の実体験として、「俳句には人生を楽しくする力がある」と感じていますよ。

K:なるほど! それで、さっそく私も俳句を始めてみようと思って、まずは書店に行ってみました。何かいい入門書はないかと......。

夏:いいものは見つかりました?

K:それが苦戦しまして。俳句コーナーだけでも本棚二段分もあるんです......。どれがいいのかわからず、結局、夏井先生の本を一冊買って帰ってきました。

夏:お買い上げ、誠にありがとうございます(笑)。

K:はい(笑)。でも、読んで満足して、それで終わっています......。

夏:自分で俳句を作ることなく、入門書を読んだだけで、そのまま終わる。よくあるパターンね。そうね、それじゃあ、この授業で、俳句の基礎の基礎から一緒に学んで、きちんと俳句を作れるようになりましょう。

K:はい! でも、ど素人の私でも大丈夫でしょうか......?

夏:心配無用です。俳句はコツさえわかれば誰でも簡単に作れます。「センスやひらめきなんて自分にはないよ」と思っている人にこそ、やってみてほしいですね。

K:それは心強い言葉です!

夏:一時間目のテーマは、俳句を始めるのに必要な「三種の神器」です。それらをゲットしましょう。

K:「三種の神器」ですか!?

 

「三種の神器」は、すぐにそろえられる

夏:俳句を始めようとする人は、モノを作るわけだから、道具が必要よね。俳句は、もっとも少ない道具で始められると私は思っていますが、まず必要なものは......。

K:(ゴクリ......)

夏:「ペン」です!

K:ひょ!? ペ、ペンですか......。

夏:そうよ。まぁ、ペンでも鉛筆でも、書けるものなら何でもOK。

K:それなら、今、手に持っています。

夏:よし! では、次。「三種の神器」の二つ目は......。

K:(な、何だろう......)

夏:「メモ用紙」です! 立派なものでなくても、広告の裏紙をクリップで留めたもので十分よ。

K:メ、メモ用紙ですか......。またもや簡単に用意できそうです。

夏:よし! そして、「三種の神器」の最後は......。

K:(ドキドキ......)

夏:この本『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』です!

K:な、なんと! すぐに手に入るものばかりですね。実質、かかるお金は、この本の代金だけ(笑)。

夏:そうね(笑)。実は、三つ目は「俳号」なんだけど、詳しくは後にまわして、それくらい気軽に始めてほしいんです。よく入門書には、「俳句を始める前には歳時記が必須」なんて書いてあるけど、この授業を受けて「続けられそう」と確信が持ててからで大丈夫よ。

K:なんだ、冗談だったんですか(笑)。ちなみに、歳時記というのは......?

夏:あっ、ごめんね。Kさんは見たことがないかな。歳時記っていうのは、俳句の季語を集めて分類・整理して、解説や例句なんかを載せた本のこと。後で詳しく説明すると思うので、ここでは「ふーん。歳時記っていうものがあるんだな」という程度でOKです。

K:わかりました。(歳時記......メモメモ)

 

【夏井いつき(なつい・いつき)】
俳人。1957年、愛媛県生まれ。中学校国語教諭を経て俳人に。俳句集団「いつき組」組長。創作執筆に加え、句会ライブなど俳句の種まき活動を積極的に行なう。テレビ番組「プレバト!!」(MBS/TBS系)で人気を博す。

 

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