シスター・鈴木秀子さんが取り入れる「自分を幸せにする小さな習慣」
2025年01月28日 公開
頭と体を鍛え、感謝できることを三つ書き出してみましょう。聖心会シスターの鈴木秀子さんが実際にやっている、心健やかに過ごすための習慣をお話しくださいました。(取材・文:辻由美子)
※本稿は、月刊誌『PHP』2024年2月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。
心健やかな人生に向けての準備
私は今年で93歳になります。この年齢になると、あるアメリカの宗教家の言葉が心に染みてきます。その方はこうおっしゃいました。「お金で買えるものは何もいらない。ほしいのは心を満たすものだけだ」と。
私たちは若いうちはお金をためたり、社会的な地位を上げたり、人からの評価を得たりするために一生懸命です。でもある程度の年齢になったら、そうしたことはあまり意味がなくなってしまいます。
そんなことより、心おだやかに、健やかに過ごしたいと思うのです。でも急にそうなりたいと思っても、なかなかうまくいきません。少しずつ、心健やかな人生に向けての準備が必要です。
まず第一に、頭と体を鍛えておくことが大切です。頭や体の健康がそこなわれてしまうと、どうしても不安が先に立ってしまうからです。
頭を鍛えるためには、読書が一番です。それも易しい本ではなく、少し難しいと感じるくらいの本を選ぶのです。
毎日1ページでもいい。難しい本を開いて読む習慣をつけておけば、頭が衰えずにすみます。頭の筋トレと思ってください。
体を鍛えるには、やはり運動がおすすめです。私はこの年齢でも、ストレッチや軽い運動をしています。いくつになっても、自分の体と相談しながらできる運動はあるものです。
そして、私は歩ける日は1日5000歩を目標に、修道院がある聖心女子大学のキャンパス内や近くの有栖川公園を散歩しています。
季節や自然を身近に感じ、歩きながら祈っていると心が落ち着きます。祈るといっても大それたことではありません。特定の信仰がなくてもかまいません。自分が生かされていることを実感し、大きな力に気づいて感謝するのが祈りです。
夜寝る前に三つ書き出す
心健やかに過ごすために、もう一つ、大切なのは、自分で自分を幸せにする力を身につけることです。自分を必要としてくれた子供もやがて巣立ちます。仕事の第一線から退けば、自分を満たすやりがいを失った気持ちになるかもしれません。
そんなとき他人に依存しないで、自分で自分を豊かにする方法を身につけていれば、周りの状況に関係なく、どこにいても心健やかに、幸せに過ごせるでしょう。
そのために一番重要なのは、自分が生かされているのだというありがたさを自覚することです。私たちは当たり前のように息をして、当たり前のように歩き、ごはんを食べています。でも、もし息がちゃんとできなかったら?もしちゃんと歩けなかったら?どんなにたいへんなことでしょう。
そのことに気づけば、私たちを当たり前に生かしてくださる大きな力の存在に感謝する気持ちも芽生えます。
私は夜寝る前に、今日一日を振り返って、感謝できることを三つ書き出す習慣をおすすめしています。たとえば、「今日も足が動いた」とか「今日もごはんが食べられた」といった当たり前のことに気づいて感謝する。それだけで小さなことにも幸せを感じられるようになります。
そして朝起きたときは、たった一分だけでいい。当たり前の生活ができない紛争地域に住む人たちや飢えに苦しむ人たちのために祈る習慣をつけてください。
そんなことをして何の役に立つのか、と思うかもしれません。でも、だまされたと思って一週間続けてほしいのです。一週間続けると、あなたは自分自身が前より好きになっているはずです。自分自身と仲良くできるようになっているのです。
自分を好きになる第一歩
私は人生を心健やかに過ごす極意は「三つの仲良し」だと思っています。
「一つめの仲良し」は自分自身と仲良くすること。つまり、自分を好きになることです。小さなことに感謝したり、人のために祈るのは、自分を好きになる第一歩です。そして、もし失敗したり、後悔することがあったりしても、自分を責めないこと。自分を責めると、自分が嫌いになります。
自分を責めたくなったら、「これは私を成長させるための恵み」だと思うようにしましょう。恵みですから、それを糧に「次はこうしよう」「今度はこうしてみよう」と前向きに考えられるようになります。
「二つめの仲良し」は他人と仲良くすること。自分を責めない習慣づけをしていると、自分を許せるようになるので、他人も許せるようになります。つまり、人とも仲良くできるようになるのです。
他人に対してどうしてもカッとなったときは、その場を離れるか、6秒間かけてゆっくり深呼吸しましょう。怒りが少しおさまります。
「三つめの仲良し」は自分の力を超える存在と仲良くすることです。自分を好きになり、自分の大切さに気づけば、人智を超えて起きることも、すべて自分の成長の恵みであると受け止められるようになります。すると大いなる存在に感謝する気持ちも生まれてくるでしょう。
ぜひこの「三つの仲良し」を意識し、感謝する気持ちを忘れないで、頭と体の健康に気を配りましょう。みなさまが健やかな一年を過ごされますようお祈りいたしております。
【鈴木秀子(すずき・ひでこ)】
1932年、静岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。文学博士。聖心女子大学教授などを経て、国際コミュニオン学会名誉会長。「9つの性格』(PHP文庫)、『世界でたったひとりの自分を大切にする』(だいわ文庫)など著書多数。
![月刊PHP 2024年 2月号 [心が健やかになる 新しい習慣]](/userfiles/images/book2/B0CQ8T4KRM.jpg)






