中国の家庭料理には、家族の思い出が詰まっています。
私にとっての"おふくろの味"は、ふんわり卵とトマト、そしてピーマンを炒めた三色のおかずです。
中国語では「西紅柿炒鶏蛋(シーホンシー・チャオ・ジーダン)」というのが一般的ですが、うちの家庭ではピーマンが入るので、「三色野菜炒め」と呼んでいました。赤・黄・緑の色合いが食卓を明るくしてくれる、夏の定番料理です。
夏の味を思い出す「トマトと卵」の組み合わせ
私は中国の東北地方、ロシア国境に近い町で育ちました。冬は平均気温がマイナス20度ほど。トマトもピーマンも凍ってしまうような寒さです。だからこそ、夏に食べるトマトと卵の炒め物は特別でした。
両親は共働きで、私は4人きょうだいのひとり。毎日忙しい中でも、母は「早く作れて栄養のあるおかず」を工夫して出してくれました。
うちでは鶏を飼っていたので、卵は家で採れたもの。ピーマンも安く手に入る食材でした。そんな身近な材料で作るこの炒め物は、手早く作れて、彩りもきれい。母の知恵が詰まった一皿です。
「卵とトマトの炒め物」を誰が発明したのかは定かではありませんが、1940年頃には全国的に人気のメニューになっていたようです。家庭によって、もしくはその時の冷蔵庫の中身次第で食材を変えることもある料理です。我が家ではピーマンを入れています。
この料理でいちばん好きだったのは、トマトの汁がご飯に染みる瞬間です。白いご飯に、赤いトマトの酸味がとても合います。おかずというより、丼のようにして食べるのが好きでした。
トマトと卵の炒め物
それでは、基本の作り方をご紹介します。シンプルですが、炒め方ひとつで仕上がりの色も味も変わる奥深い料理です。
・材料(2人分)
トマト:2個(大きめに切る)
卵:3個
ピーマン:3個(縦6等分を目安に)
塩・こしょう・醤油・ごま油:適量
・作り方
1. 野菜をあらかじめ切っておく。ピーマンは縦に6等分、トマトは大きめに切る。
2. 卵を溶き、油を熱したフライパンでふんわりと炒め、一度取り出す。細かくほぐしすぎず、大きめに仕上げるのがポイント。
3. フライパンに少量の油を足し、強火でピーマンをさっと炒める。色が悪くならないよう、火を通しすぎないようにする。
4. トマトを加えて炒める。水分が出てきたら、卵を戻し入れ、中火で全体を炒め合わせる。トマトの赤、卵の黄、ピーマンの緑が鮮やかに残るよう、炒めすぎないのがポイント。
5. 塩・こしょう・醤油・ごま油で味を調えて完成。







