イラスト:いしかわみき
料理に香りや色どりを加えてくれる魅惑的てきなスパイスの世界。はじめての人にもわかりやすく基礎知識から料理のコツまでご案内します。
※本稿は、月刊誌『PHP』2023年4月号掲載記事を抜粋・編集したものです。
スパイスは魔法じゃない
スパイスを何か特殊なもののように思われている方は多いかもしれません。僕自身、実際にスパイスを扱うようになるまでは、魔法のようなイメージを持っていました。
でも、扱いはじめてわかったのは、スパイスは「素材を引き立てるためのもの」だということ。スパイス自体に特殊な魔法があるというよりは、食材が本来持っている魅力を引き出してくれるんです。
それが腑に落ちてからは、醤油や味噌と同じような感覚で普段使いするようになりました。魔法ではないけれど、たのもしい料理の味方です。
スパイス豆知識
スパイスが何種類くらいあるかという話はなかなか難しくて、どこまでをスパイスと呼ぶかということにもなるんですけど、一般的には7、80種類あると言われています。ただ、その中にはすごくローカルなものや現代ではほとんど使われていないものもあります。
カレーに使われるスパイスであれば、最大でもせいぜい20種類ぐらいでしょうか。しかも、その全部をいっぺんに使うわけじゃありません。
特にインドでは家庭料理になるほど、使うスパイスの種類は少なくなる傾向があって、2種類くらいのこともあるようです。
スパイスには実や種もあれば葉、皮、花の雌しべやつぼみ、樹脂などもあります。僕の中では、スパイスの定義は「香りが特に強い乾燥状態のもの」としています。
スパイスの原産地は世界中にありますが、種類や量の中心地の1つがインドだと言えると思います。
スパイスがさかんに使われるようになるのは大航海時代です。新大陸から唐辛子がもたらされるまでは、インド料理ってからくなかったんです。胡椒はありましたけどね。