近年の研究によると、普段コーヒーを飲む人ほど、心血管疾患による死亡リスクが低い傾向にあることが分かってきました。コーヒーに含まれるポリフェノールが、血糖のコントロールや肝臓の働きの改善に関係していると考えられています。
本記事では、医学論文に基づいた情報発信を積極的に行っている歌島大輔氏が、コーヒーが持つ健康効果について分かりやすく解説。手軽な取り入れ方から、飲む時間帯、効果を台無しにしないための「鉄則」まで、ご提案します。
※本稿は、歌島大輔著『科学的に証明された 突然死を招く習慣・長生きする習慣』(高橋書店)より一部抜粋・編集したものです。
コーヒーを飲む人ほど死亡率が低い
「コーヒーって体にいいの?」――これも患者さんからよく受ける質問です。
結論からいうと、砂糖を入れないコーヒーは、長い目で見ると体の味方になりやすいのです。ただし、繰り返しになりますが「砂糖を入れない」コーヒーです。
甘いカフェラテやシロップたっぷりのコーヒーを「コーヒーだから体に良い」と思ってしまうと、逆にリスクになります。おすすめしたいのは、ブラックか無糖ミルク(無糖の牛乳・豆乳)を加えたコーヒーです。
血糖を調整し、肝臓の働きを良くする
コーヒーにはカフェインだけでなく、クロロゲン酸などのポリフェノールが含まれています。これらは体のダメージ(酸化)や炎症に関わる反応に影響し、血糖のコントロールや肝臓の働きの改善にも関係していると考えられています。
実際、コーヒーの摂取が健康に与える影響をまとめた論文では、コーヒーは多くの健康指標において、害よりも益があるとされています。とくに全死亡率や心血管疾患による死亡率では、コーヒーを多く飲む人ほどリスクが低い傾向にあります。[1]別の論文でも、コーヒーを飲む人は、飲まない人に比べて同様の傾向にあると報告されています。[2]
ただし、これらは観察研究が中心なので、対象者の生活習慣そのものが影響している可能性があります。それでも「無糖のコーヒーが害になる理由」はあまり見当たりません。
とはいえ、「1日3〜4杯飲みましょう」とはいいません。大切なのは「最適な量」よりも「続く量」。1日1杯であれば、睡眠や胃腸への影響を確認しながら、無理なく習慣化できます。長生きには、こうした小さな積み重ねが大切です。
甘みの代わりに香りを変える
コーヒーの量はマグカップ1杯(150〜200㎖くらい)を目安にしてください。豆から淹れても、ドリップパックでも、インスタントでもかまいません。まずは「続けること」を最優先にしてください。
もし、ブラックが苦手なら、無糖のミルクを少し入れてもかまいません。
ここで大切なのは「砂糖を入れない」こと。甘い缶コーヒーや加糖のカフェドリンクは、コーヒーというよりも「甘い飲み物」です。これらにはコーヒーを飲みやすくするためにかなりの量の砂糖が加えられています。ゆえに、当然、血糖コントロールに悪影響が出ます。
それを無糖コーヒーに替えるだけで、体はかなり楽になります。
どうしても甘みが欲しいときはコーヒーの香りを変えてみてください。シナモンを少量入れる、バニラの香りをつける、深煎りにする――甘さではなく香りで満足度を上げると、習慣が崩れにくくなります。
飲む時間帯は午前中がおすすめ
コーヒーを飲む時間帯は午前中、遅くても昼過ぎまでです。とくに便秘がちな人は、朝のコーヒーを「1日のスタートスイッチ」にすると、生活のリズムがととのいやすくなります。
逆に(カフェインの効き方は人によって違いますが)夕方以降に飲むと、眠りが浅くなる人もいます。このように、睡眠が乱れると、血圧や食欲も不安定になりやすく、健康への悪影響が増してしまうことがあるので、飲む時間帯には注意してください。
ましてや、眠気覚ましとしてコーヒーに頼るのは逆効果です。コーヒーは体を起こすためのものではなく、生活リズムをととのえるきっかけと考えましょう。
苦手な人はカフェインレスで
コーヒーを飲むと胃が痛くなるという人は、空腹時に飲まない、薄めにする、量を半分にするなど、調整してください。また、飲むとドキドキする、手が震える――そう感じたら量を減らすか、カフェインレスに切り替えましょう。
コーヒーがどうしても苦手という方も、カフェインレスコーヒーを選ぶといいでしょう。コーヒーの「良さ」はカフェイン以外のポリフェノールなどにあるので、カフェインレスでも続ける価値はあります。[1]
コレステロールが高い人は「淹れ方」に注意してください。
紙フィルターを通さないコーヒー(ボイル、フレンチプレスなど)は、豆に含まれる成分がより残り、LDL(悪玉)コレステロールを上げる方向に働く可能性があります。[3]
多く飲む人ほど、フィルターコーヒーを基本にしたほうが安心です。
また、妊娠中にコーヒーを多く摂取すると、体調を崩す危険があるので注意が必要です。[1]
[1] Poole R, et al. BMJ. 2017;359:j5024.
[2] Crippa A, et al. Am J Epidemiol. 2014;180:763-775.
[3] Urgert R, Katan MB. Annu Rev Nutr. 1997;17:305-324.









