いつも笑顔の人、ひたむきに努力している人――「魅力的な人といえば?」と聞かれば、人によってさまざまな答えがあるでしょう。「友人の生き方に魅力を感じている」と語る作家の有川真由美さんに、実際に心惹かれた友人の考え方を紹介していただきます。
※本稿は、有川真由美著『一緒にいると楽しい人、疲れる人』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
楽しいことに目を向ける人には魅力がある
近所に住んでいた幼なじみのMちゃんは、20代前半でお見合い結婚。相手に初めて会ったのがお見合いの席。2回目に会ったのが結納。3回目は結婚式というおそるべきスピード婚で、遠い街へと嫁いでいきました。Mちゃんは「だって、相手もいい人そうだし〜」と言っていたけれど、まるでポンと新車を買うような決断に、私は「気の迷いなのでは?」と心配したものです。
あれから30年。孫も生まれて、同じパートの仕事を20数年続けながら、楽しそうに生きているMちゃん。会うたびに、貫禄というか、安心感のようなやわらかな魅力が備わって、Mちゃんの大切なものを守り続けていく力にはあっぱれ、と敬意を感じるのです。
始めるのは簡単でも、続けていくのは、ほんとうにむずかしい。そこにあるしんどさよりも、「楽しさ」や「よろこび」に目を向けなければ、続けることはできないからです。
それとは別な次元の話ではありますが、私も本を書いていて、つくづく思います。締め切りに追われ、しんどい状態で書き続けていると、きっと自滅してしまうと。だから、いつまでも書くことを楽しんでいたい。大好きな本を繰り返し読んだり、興味のあるテーマを追いかけたり、ときには読者の方たちと交流したり......。そんな書くための"工夫"をあれこれしながら「楽しさ」や「面白さ」を保つようにしています。
その根底にあるのは、「せっかく書く役割をいただいたのだから」というシンプルな初心かもしれません。「せっかくだから」という言葉は、後ろ向きになりそうな心を、前に向けてくれます。大切なことを大切にしよう、少しでもいいものにしようというときに有効です。
「せっかく家族をもてたのだから」
「せっかく望んだ仕事につけたのだから」
「せっかくこの場所に住んでいるのだから」
そして、究極は「せっかく命をいただいたのだから」。「せっかく」とは滅多に得られない恵まれた状況に感謝し、大切にする気持ちを表します。小さなことにも、私は魔法の呪文みたいに「せっかくだから」とつぶやきます。
「せっかく天気がいいから、散歩に出かけよう」
「せっかく料理をつくるから、おいしいものにしよう」
「せっかく出かけるのだから、ちょっとおしゃれしよう」というように。
そんなふうに一つひとつの機会を大切にして「なんでも楽しんでしまおう」とすることが、自分とまわりの人を楽しくする一歩だと、私は信じているのです。
「忙しい」と言わない人には魅力がある
忙しいのに、「忙しい」と言わない人は魅力的です。ほとんどの人は、「忙しい」と言っている人よりも、実際はそうであっても口に出さない人とつき合いたいし、一緒にいて楽しいと思うのではないでしょうか。それは、時間の問題ではなく、心の余裕があるかないかの問題だと感じるからです。
早朝から夜まで分刻みで働く女医の友人がこんなふうに言ったことがありました。
「忙しいって言うのは、恥ずかしいこと。みんな忙しいのはあたりまえだし、それで"なにかができない"って理由にはならないでしょう?」
仕事と子育てをしながら、語学やスポーツ、旅行......と、やりたいことをつぎつぎに実現してきた彼女の姿からは、いつもエネルギーをもらうのです。賢い人は、「忙しい」とは、文字通り、心を亡くすとわかっています。それを口にするほど自分を追い立てて、焦りやイライラがさらによくない状況を引き起こすことや、人を遠ざけたり、傷つけたりしてしまうことを、わかっています。
心の余裕をキープするのは、とても重要なことなのです。心に余裕があれば、一つひとつのことを楽しむことができます。自分の都合を押し付けずに、人の話を聞いたり、人にやさしくできたりします。心の余裕をもつためには、「『忙しい』と言わないこと」のほかに、つぎのことをクセづけてはいかがでしょう。
①1日1回、自分のためだけの時間をもつこと
人と接して、だらだらと忙しくするのではなく、15分でも素の自分に戻ったり、好きなことをやったりする時間を意識的に確保することで、心の余裕が生まれます。
②5分でやれることは、すぐにすること
物事を放置したり、先送りしたりしていると、「まだあれができていない」と気が重くなってきます。小さなことを一つひとつ片づけることが心の余裕につながっていきます。
③やらなくてもいいことはやらないこと
「忙しい」と言う人は、たいてい、多くの「やるべきこと」を自分に課しています。客観的に見て「やらなくてもいいこと」は手放す、ハードルを下げることが大事です。
焦ると呼吸が浅くなります。忙しいと感じたら、まずは深く呼吸をするクセをつけるのもいいでしょう。心の余裕が最大のパフォーマンスを生むと頭に置いていてください。
「自分の言葉で表現」ができる人には魅力がある
「自分の言葉で表現」ができる人は魅力的です。たとえば、誕生日メッセージをSNSで送り合うとき、「お誕生日おめでとう」「素敵な1年になりますように」といった、いわゆる"定型文"が並んでいるなかで、「ん?」と目がひきつけられるのは、やはり「その人なりの表現」です。
私が感動したのは「お誕生日おめでとう!」と、言葉はいたって普通でも、それを書いたプラカードを友人2人が笑顔でもっている写真のメッセージ。それから「生まれてから一度も心臓が止まってないなんて、心臓ってえらいね。何度か心臓が止まりそうになったことはあったけどね」という私の黒歴史を知る友人からのメッセージにも吹きだしそうになりました。そんなふうに自分の言葉で伝えられる人は魅力的。心が通い合っていると感じます。
「自分の言葉」「自分なりの表現」といっても、むずかしく考える必要はありません。気のきいた言葉、ウィットに富んだ表現が必要なわけでもありません。会話、メッセージ、スピーチ......。どんな表現でも、自分の言葉で伝えるための基本はつぎの3つです。
①「伝える」と「伝わる」は別モノと考える
ただ言葉を「伝えた」だけで、自分の気持ちが「伝わった」わけではありません。「どんなふうに言ったら相手に伝わるのか?」、相手の立場で考えることが大事。
②「ちょっと楽しくなってもらうには?」と考えるクセをつける
大切なのは、借りてきた言葉よりも「気持ち」を届けること。たとえば、仕事メールの冒頭で「お世話になっています」だけでは、単なる形式としてスルーしてしまいます。「今日はいい天気ですね」という言葉を添えるだけで、ほっと心が和みます。
なにかのメッセージを伝えるのに「ちょっと楽しくなってもらうには?」は1つの基準。「それに見あう言葉は?表現は?」と考える心がけをもつだけで表現方法はぐんと広がります。
③素直な「感情」「気持ち」を伝える
たとえば、感謝を伝えるなら、「ありがとう」だけでなく、「ほんとうにうれしかった」「あなたがいてくれてよかった」と、感情をひと言添えるだけでもいいのです。仕事の帰りも、「お疲れさまでした」だけでなく、「今日は忙しかったけど、だいぶ片づきましたね」などと気持ちを伝える人には、親近感がわきます。
「自分の言葉」で表現できると、周囲のあなたを見る目は確実に変わるはずです。









