1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. なぜまた買ってしまうのか?衝動買いを誘う「損失回避バイアス」の罠

くらし

なぜまた買ってしまうのか?衝動買いを誘う「損失回避バイアス」の罠

下村志保美 (時間×片づけコンサルタント、ファイナンシャル・プランナー、家計アドバイザー)

2026年08月12日 公開

なぜまた買ってしまうのか?衝動買いを誘う「損失回避バイアス」の罠

気がついたらお金が減っていて、何に使ったか思い出せない。100円ショップやセールで衝動買いしてしまい、あとになって「なんで買ったんだろう」と後悔する――そんな経験はないでしょうか?「つい買ってしまう」行動を繰り返していると、いくら収入があってもお金は貯まりません。
本記事では、衝動買いをやめられない心理的メカニズムと、負のループから抜け出して「自分軸」でお金を貯めるためのヒントをわかりやすく解説します。

※本稿は、下村志保美著『人生が整うノート』(扶桑社)より一部抜粋・編集したものです。

 

お金が貯まらないのは収入の問題じゃない

「もっと収入が増えたら、お金が貯まるんですけどね」
お部屋を一緒に片づけながら、お客様とそんな話になることもあります。
しかしこれは「もっと収納が広ければ片づくのに」という思考と同じ。こんなマインドのままだと、収入がアップしたとしても、根本的な解決ではないので、お金は貯まらないでしょう。

お金が貯まらないのも「選択」の問題です。
お金を何に使うかを、同時にお金を何に使わないかを決めていない。そんな状態を続けていても、お金は貯まりません。

「とにかく節約しよう、ただ貯めよう」と行動するのも逆効果です。何のために節約を頑張って貯めるのかが決まっていなければ、長期的には続きません。
捨てられない性格なのに、さらに新しいものを買ってしまって、ものが増える一方の人がいますが、その人は「入り口が開きっぱなしの状態」。貯まらない人は逆に「お金の出口が開きっぱなしの状態」といえます。

お金を貯めるには「自分軸」が必要です。目先の節約術やセールで得した気分になるのではなく、自分なりのゴールを決めて、そのために逆算して動かなくてはいけません。
ぜひ、お金とのつきあい方を見直していきましょう。

 

あとで振り返ったとき、「なんで買ったんだっけ?」

人間には損失回避バイアスという心の動きがあります。「少しでもお得なものを逃したくない」「自分だけは損をしたくない」というような状態を示すものです。

たとえば、100円ショップでの買い物。商品がどれも100円だから、安くてお得なイメージがありますよね。しかしふらっと100円ショップに行って、お目当ての商品を1個だけ買って帰る人って、案外少ないのではないでしょうか?「ゴミ袋を買おうかな」と思って入ったとしても、棚を見ているうちに「SNSでバズっていた商品だ」とか「季節の新商品、可愛いかも」など、なんとなく欲しい商品がカゴに溜まっていき、気づけばお会計では1000円超え...なんていうのは、よくある光景です。

この消費行動の裏には、「これが買いたい」ではなく「これなら買える」という感情があります。逆に言えば、「感情」で買っているけど、「本当に必要としているか」の事実が入っていません。なので、あとで振り返ったとき、「なんで買ったんだっけ?」「何に使ったんだっけ?」となる。私自身も、こんな失敗を繰り返してきました。

なんとなくお金を使うということは、そのお金で買えたはずの、自分が本当に欲しいものや経験を手にする機会を逸してきたということ。まずはその事実を知ることが、お金とのつきあい方を見直す第一歩です。

 

「買えるものを買う」が無限ループを生む

それでは、感情で買ったり衝動で買ったりすることが、なぜ頻繁に起きるのでしょうか。

買い物をする瞬間って、気持ちがいいですよね。日常生活の中で溜まっているストレス、自分でコントロールできない出来事への不満や不安、「満たされているはずなのに何かがたりない」という漠然とした焦り...。衝動買いや感情的な買い物は、脳に快感を与え、ネガティブな気持ちを一時的に解消するのにちょうどいい行為です。

しかし、「本当に欲しいから」ではなく「これなら買えるから」と選んだものは、心からの満足にはつながりません。なぜなら、その買い物は「欲しいものを選んでいる」のではなく、「買えるものを選んでいる」だけだからです。

するとしばらくして再び「何か買いたい」という気持ちが湧き上がります。そして「これなら買える」というものを買い、一時的に満足する。また何か買いたくなる。その繰り返しによって、「これなら買える → 買う → 一時的に満足する → また買いたくなる」というループから抜け出せなくなってしまうのです。

これも「思考のクセ」のひとつ。根深く習慣化しているので、脱出するには、意志の力だけではたりません。まずは自分の買い物の傾向を見つめ直すところから始めましょう。

[ワーク]1週間のお金の使い方を振り返る

プロフィール

下村志保美(しもむら・しほみ)

時間×片づけコンサルタント、ファイナンシャル・プランナー、家計アドバイザー

1968年愛媛県生まれ。英語講師や投資顧問会社での勤務後、夫の転勤に伴い中東カタールで生活。当時は国際情勢が安定しない中、本当に必要なモノだけで暮らす生活を実践。帰国後、友人宅の整理・収納方法をアドバイスしたことをきっかけに、2014年に片づけのプロとして起業。「空間・心・時間」の3つを“整える”ことで忙しい女性をサポートする「PRECIOUS DAYS」を主宰し、3000軒以上の片づけに携わる。現在は整理収納サポートに加え、「思考の整理コーチング」を通して、“頑張っているのに満たされない”女性たちが、自分らしい時間と暮らしを取り戻すサポートを行っている。主な著書に『「お金が貯まる家」にはものが少ない』『自分時間が30分増える 余裕がある人の時間整理術』などがある。

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×