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富裕層はなぜブランドに執着しない? 資産家と浪費家を分ける「心の持ち方」

川口幸子(金融コンサルタント)

2026年04月23日 公開 2026年04月23日 更新

富裕層はなぜブランドに執着しない? 資産家と浪費家を分ける「心の持ち方」

富裕層には、案外質素に暮らしている人が多いものです。彼らはなぜあまりお金を使わないのでしょうか。その価値観の中心に置いているものとは?お金を無駄遣いせず、幸せに暮らす方法とは?長期にわたる海外生活で欧米人の富豪らと交流を持ち、ファイナンシャルプランナー(FP)として、多くの人からお金の相談を受けてきた「かわゆ先生」こと川口幸子さんが、富裕層に共通する「心の持ち方」を解説します。

本稿は、川口幸子著『FP歴30年の母が20代の娘に伝えたい人生が変わるお金の話』(日本実業出版社)より一部抜粋・編集したものです。

 

本当に豊かな人たちに共通していること

「今、自分が持っているもので満足できる」
この感覚を身につけられた人は、人生の土台が安定していると思います。
お金の使い方には、その人の心の在り方がそのまま表れます。
そして、長くファイナンシャルプランナー(FP)として多くの家庭や個人を見てきた私は、本当に豊かな人たちには、ある共通点があることに気づきました。
それが、「足るを知る」姿勢です。

欧米の富裕層から学んだ中で、印象に残っている言葉があります。
あるご夫婦が言いました。

「私たちは、すでに持っているものに感謝しているから、買い物で自分を満たそうとは思わないの」

彼らは資産的には十分に富裕層でしたが、暮らしはとても質素で、愛用の家具や日用品も、何年も前のものを大切に使っていました。

一方、見た目には裕福に見えても、常に「もっと新しいもの」「他人より上に見せたい」という気持ちで消費を重ねる人もいます。こうした消費は、本人に自覚がなくても「心の不足感」を埋めるために行われていることが多いのです。
どちらが本当に豊かなのかは、言うまでもありません。

 

 価値観に合った「もの」・「こと」にお金を使う

「満足する=何も買わない」ということではありません。
そうではなく、「本当に必要なもの」「自分の価値観に合ったこと」にお金を使えるかどうかです。お金は道具です。それを比較や見栄のために使い始めると、人生の軸がどんどんずれていきます。

逆に、自分が大切にしたい基準を持ち、満足を感じられる人は、無理のない範囲で自然にお金が貯まっていきます。

20代は、どうしても人と比べてしまいやすい時期です。
SNSを開けば、同世代の誰かが旅行に行き、高級なものを買い、新しい生活を始めている。それを見て「自分は遅れている」「もっとがんばらなきゃ」と感じるのは自然なこと。
でも、他人の生活を基準にしていては、いつまでたっても満足は得られません。

むしろ、「自分にとって大切なものは何か」「今あるものをどう活かせるか」といった視点を持つことで、本当に豊かな暮らしが始まります。
たとえば、使い慣れたノートパソコン、親から譲り受けた家具、丁寧に磨いたお気に入りの靴...。
それらに価値を感じられる人は、物もお金も、人間関係さえも、長く大切にできる人です。

私が家計相談でよくお伝えするルールがあります。
「満足できる人は、収入の範囲で十分に暮らしていける」
逆に、満足できない人は、どれだけ収入が上がっても足りなく感じてしまうのです。
その違いは、金額ではなく「心の基準」の問題なのです。

これから人生を歩んでいく中で、収入は変化していきます。
昇給したり、転職したり、結婚や出産などのライフイベントもあるでしょう。
でも、どんな時も「今あるもので満足する感覚」を持っていれば、あなたの家計も、心も、大きく崩れることはありません。

 

「買う」のではなく「選ぶ」

イタリアのミラノやローマでは、ブランド店で買い物を楽しむ旅行客が多く見られます。
しかし現地の富裕層女性たちは、ブランドに対する執着がほとんどありません。
彼女たちは「ブランドを買う」のではなく、「良いものを選ぶ」ことに価値を置いています。そのため、全身をブランドで固めた姿を見ることは少ないのです。

 

ブランドに興味を示さない4つの理由

富豪がブランドに興味を示さない背景には、いくつかの理由があります。
第一に、過度な消費に対して慎重な姿勢を持っていることが挙げられます。物質的な豊かさではなく、人生の質そのものに価値を見出しているのです。
高級ブランドは生活の証ではなく、時に価値観を惑わせる存在にすらなり得ると考えています。

第二に、自己認識を高める方法を知っているからです。
経験や教育、人との関わりを通じて成長する術を理解している彼らにとって、ブランドは人格や強さを示す手段ではありません。

第三に、自信に裏打ちされた選択眼を持っていることも理由の1つです。
質の良いものは選ぶが、人の目のためにブランドを選ぶことはしません。
それは、ブランドに頼らずとも自分らしさを表現できるという信念があるからです。

第四に、文化や芸術への深い関心があります。芸術や歴史、建築など、精神的に満たされる趣味を通じて、より豊かな人生を歩もうとする人が多いのです。
このような趣味を持つことで、ブランドに対する興味が薄れるのは自然な流れかもしれません。
もちろん、ブランド品を嫌っているわけではありません。デザインや品質に魅力を感じれば購入しますし、プレゼントすることもあります。
ただし「ブランドだから買う」という価値観はほとんどないのです。

 

高級品を持っていても、お金があるとは限らない

ブランドを気にしない姿勢の背景には、消費への考え方、自己認識の高さ、自信、そして文化への関心があります。
周囲にブランド品ばかりを身につけた人がいれば、その人は本当にそのブランドが好きなのか、それとも自分を認めてほしいのかもしれません。
そんな人に出会ったら、ビジネスのきっかけとしてほめてみるのも1つの戦略です。
高級車も同じです。富裕層でも車を所有しない人もいますし、危険だからと運転手を雇う人もいます。

あなたが女性であれば、高級車や高価な時計だけで男性を判断せず、その人の中身を見る力を養ってほしいと願います。
その人が身につけている高級品は全財産かもしれませんし、怪しいお金で買ったものだったり、ローンやリースの可能性だってあるのです。
なぜそこまでして高級品を持つのか、一度冷静に考えてみてください。

 

「お金」よりも「時間」

富裕層とは、豊富な資産や高収入を持つ人々を指します。日本円にしておよそ1億円を投資に回せるレベルが1つの目安とされます。そして彼らにとって、最も貴重なのが「時間」です。
先にも述べたように、お金は失っても取り戻せますが、時間は一度失えば二度と戻りません。そのため、富裕層は時間を何よりも重視します。

彼らはまず、時間をビジネスの成功に直結させています。効率的に働き、成果を最大化するため、予定管理に妥協がありません。細かく計画を立て、生産性を上げています。
一方で、趣味やライフスタイルも大切にしています。
旅行やスポーツ、美術鑑賞など、自分の人生を豊かにする活動に時間を割くことが彼らの幸福感につながっているのです。

さらに、家族との時間も重視します。とくに子どもとの時間は教育や愛情形成に欠かせないと考え、意識的に時間を確保しています。心の安定も得られます。

また、目標達成や成長に時間を投資することも彼らの特徴です。成功体験から得られる満足感は大きなモチベーションとなり、人生の質を向上させます。
時間を通じて自己実現を図る意識が強く、時間をどう使うかが人生そのものを左右すると理解しているのです。

富裕層の多くは、自分の時間に対する明確な価値基準を持ち、時間の浪費を極力避けます。そのため優先順位を明確にし、必要な業務を他者に任せる決断力も持っています。
自己投資にも熱心です。読書、学習、人脈構築などに時間を使い、長期的な成長と成功を見据えています。自分の時間を最大限に生かす意識が、結果的に富を築く土台となるのです。

時間の使い方こそが、人生を決める鍵。それに気づいているからこそ、富裕層は「時間」に最も価値を置くのです。

プロフィール

川口幸子(かわぐち・ゆきこ)

金融コンサルタント

金融コンサルタント、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、国際認定コーチ、マネーセミナー講師。家庭の事情から幼少期に祖父母の元で暮らし、米国や英ロンドン、日本の行き来を経験。資産家ユダヤ人や欧米人富裕層との出会いから"欧米式のお金の教育"を受けて育ち、8歳で長期積立分散投資をスタート、13歳で約400万円を貯める。銀行勤務を経てFP・金融コンサルタントの道へ。金融教育や講演にも力を入れ、現在約4500名の顧客を抱えている。通称、「かわゆ先生」。

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