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信頼される人は何が違う? 人との距離が縮まる“たった1つの口癖”

⻆谷建耀知(株式会社わかさ生活 創業者 代表取締役社長)

2026年09月21日 公開

信頼される人は何が違う? 人との距離が縮まる“たった1つの口癖”

「なぜかあの人の前では本音が言える」人や組織が伸びる秘密は、卓越したスキルではなく「言葉の渡し方」にありました。距離を爆速で縮める信頼術と、挑戦意欲を引き出すフィードバック術。明日からの対話が劇的に変わる、2つの極意を明かします。

※本稿は、⻆谷建耀知著「変わりたい」けど、「変われない自分」から抜け出すための行動の仕組み化(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

すぐにわかる信頼のバロメーターとは

人との関係が深まるきっかけはなんだと思いますか?

仕事ができることかもしれません。話が上手なことかもしれません。もちろん、それらも大切です。ですが、私は長年たくさんの人と接してきて、人との距離を縮める一番簡単で、一番効果のある方法は別にあると思っています。

それは、相手の名前を呼ぶことです。私は、人の名前と顔を覚えることには少し自信があります。特別な訓練をしたわけではありません。

ただ、人とのつながりを大切にしたいと思っていたので、できるだけ相手の名前を覚えるためにも、意識的に相手の名前を呼ぶようにしただけです。

「〇〇さん、おはようございます」
「〇〇さん、この前のあれはどうでしたか」
「〇〇さん、また来てくれたんですね」

こんなふうに、会話の最初に、相手の名前を呼ぶことを仕組み化しました。すると、ある時から変化が起きました。お客さんが私のことを「ケンちゃん」と呼ぶようになったのです。最初は何気ない変化でした。ですが今振り返ると、あれが大きな転機だったと思います。

「ケンちゃん、ちょっと聞いて」
「ケンちゃん、この前ね」

そうやって気軽に声をかけてもらえるようになり、お客さんとの距離が一気に近くなりました。食事に呼ばれることもありましたし、商品とは関係のない相談を受けることも増えました。

私はその時、人との距離は、相手の名前を覚えた時に縮まるのではない。お互いが名前で呼び合えるようになった時に縮まるのだと気づいたのです。

こちらが一方的に相手の名前を呼ぶだけでは十分ではありません。相手にも自分の名前を覚えてもらい、名前で呼んでもらう。そこまでいってはじめて、本当の意味での関係がはじまるのだと思います。

人は、自分の名前を呼ばれると嬉しいものです。自分を認識してくれていると感じますし、大切にされているとも感じます。

心理学では「ネームコーリング効果」と呼ばれていますが、私は難しい理論を知らなかった頃から、その力を実感していました。逆に、名前を覚えていないと、どこか他人行儀な関係のままです。

顔は知っているし、何度も会っているけど名前が出てこない。そんな相手っていますよね。もちろん、それで関係が悪くなるわけではありません。

しかし、名前で呼び合える関係と比べると、どうしても距離は縮まりにくいのです。私はコミュニケーションが苦手な人ほど、まずは名前を意識するといいと考えています。

話し上手になる必要はないですし、面白い話ができなくても構いません。まずは相手の名前を覚え、そして名前で呼ぶ。そして、自分で話す時に、最初は「○○さん、⻆谷です」と自分の名前を入れて声をかける。この2つを意識するだけでも、人との関係は驚くほど変わります。

実は、これは会社も同じです。今の会社「わかさ生活」という社名を決める時も、相談をした人たちからは「⻆谷製薬」のような名前やかっこいい横文字の社名案をもらいましたが、私が大切にしたのは覚えやすさでした。

どれだけ良い商品があっても、どれだけ良い会社でも、名前を覚えてもらえなければ存在しないのと同じです。だからこそ私は、「わかさ生活」という覚えやすい名前を選びました。

そして、社名を覚えてもらうために、ラジオの時報広告を出したり、京都の地下鉄でアナウンスを流したりもしました。目的は、名前を覚えてもらうことただ1つでした。

個人にしろ会社にしろ、信頼を得るためには、名前を知ってもらうという小さなところからはじまると考えています。

 

部下の声を引き出す「否定ゼロ」の対話術

なぜあの会議では誰も発言しなくなるのか。なぜあの上司の前では意見が出なくなるのか。私は、このような活発な対話が生まれない原因の多くは「ダメ出しの仕方」にあると思っています。

もちろん、仕事ですから、相手の意見や提案に対してマイナスのことを言わなければならない場面はあります。「それは難しい」「このままではうまくいかない」「ここは直したほうがいい」。そう伝えること自体は悪いことではありません。

問題は、マイナスだけで終わってしまうことです。人は否定されると黙ります。

特に、一生懸命考えて出した意見や、勇気を出して提案したことを真っ向から否定されると、「もう言うのはやめよう」と思ってしまいます。すると、その場は静かなものになります。それでは有意義な対話などできるはずもありません。

私は、マイナスのことを伝える時、プラス0.1を探すようにしています。0.1の良いところを伝える。

10褒める必要はありません。無理に良いところを探して、お世辞を言う必要もありません。

ですが、どんな提案にも、どんな仕事にも、どんな人にも、0.1くらいは良いところがあるものです。「着眼点は面白いね」「最初の部分はよく考えられているね」「その発想はなかったな」といった、本当に小さなことでいいのです。

そして私が大事だと思っているのは、その0.1を最後に伝えることです。人は最後に聞いた言葉の印象が残りやすいからです。

「ここはダメだね。でも、この視点は面白い」
「今回は難しい。でも、挑戦したことは良かったと思う」

同じ内容でも、最後に何を残すかで相手の受け取り方は大きく変わります。相手に気を遣っているわけでも、相手を甘やかしているわけでもありません。私は、人に成長してほしいからこそ、そうしています。仕事でも人生でも、挑戦しなければ前に進めません。

しかし、人は何度も否定されると挑戦しなくなり、意見を言わなくなり、考えることをやめてしまいます。ですから私は、改善点を伝える時ほど、その人が次も挑戦したくなる言葉を残したいと考えています。人を動かすのは、強い言葉だけではありません。

「またやってみよう」と思える小さなプラス0.1の希望なのです。

プロフィール

⻆谷建耀知 (かくたに・けんいち)

株式会社わかさ生活 創業者 代表取締役社長

1961年、兵庫県丹波市生まれ。 福知山商業高校(現・福知山成美高校)卒業後、東海大学に入学するも、18歳の時に脳腫瘍の手術を受けることとなり、大学を中退。右目の視野を失うも、健康器具の実演販売業界で働きはじめ入社2カ月目でトップ営業になる。
20代で独立し、会社を年商10億円規模まで成長させるが、31歳の時に会社が倒産。借金4000万円を抱えるも、再び起業し1年で完済する。
1998年、36歳で「株式会社わかさ生活」を創業。「独自のマーケティング理論」で売上を伸ばし、7年目で100億円企業に。サプリメント通販業界のパイオニア的企業となる。
『すべての答えは個客の中にある』(アスコム)など著作多数。

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