一緒にいるだけで疲れてくる人もいれば、安心したり、元気にしてくれたりする「気持ちいい人」もいる。そんな一緒にいたくなる人には共通点があると、作家の有川真由美さんはいいます。
では、どのような特徴を持つ人が、人から信頼されて傍にいたくなるのか――本稿では、その共通点を紐解いていきます。
※本稿は、有川真由美著『一緒にいると楽しい人、疲れる人』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
大切な人と話をするときは、スマホのことは忘れよう
「あの人といると気持ちがいい」と思う人は、自分のことを大切に扱ってくれる人です。友人は、食事中は家族全員、スマートフォンとテレビを見ないルールを実践しています。
私も何度か一緒に食事をしたことがありますが、それまでスマホを見たり、音楽を聴いたりしていた高校生の娘たちも、食事中はみんなの会話に入って、とても賑やか。友人は「食事は家族にとって大切な時間なのに、料理をちゃんと味わわなかったり、人の話を聞かなかったりして、ほかのことをするのは失礼でしょう?」と言うのです。
そんなルールは、相手を尊重する普段の行動にもつながっているようです。あたりまえの礼儀が、家族や親しい友人など身近な関係では、つい疎かになってしまいがちです。身近な関係だから許してもらえると、つい甘えてしまうのです。
こんな人はいませんか?
仕事関係者と会うときはスマホを見ることはないのに、友達と会うときはスマホをいじっている。新しい友人とはマメに連絡をとるのに、家族やお世話になった人、古い友人には連絡をしない。形式的なつき合いは大事にして、そばにいる人を大事にしない......。
本当は、いちばん身近にいる人ほど、気を配り、大切にするべきなのです。自分を大切にしてくれる相手には、同じように大切にしようと思います。私たちが、話を聞いてほしいとき、困ったとき、助けてほしいときなど、支えてくれるのは、遠い関係の人ではなく、やはり、身近にいる人たちです。
小さなことでいいのです。約束や時間を守る。疎遠になっていた恩のある人に連絡をする。相手がよろこびそうなものを贈る。困っていそうなときは声をかける......というように。身近にいる人が、なにもせずに大切な人になるわけではありません。草木を育てるように、心を配り、手間をかけていく時間が積み重なって、相手はかけがえのない人になるのです。
「相手に少しでもよろこんでほしい」「少しでもよくなってほしい」「少しでも安心してほしい」......。そんな思いやりを注ぐことは、相手だけでなく、自分の心をほかほかと温めてくれます。
一緒にいて気持ちのいい人は、ちょっとした心遣いを忘れない人です。まずは身近な人と話すとき、ほかのことをしないで、ちゃんと話を楽しんでみませんか?
相手の返事が鈍くなったら「ストップ!」の合図
気持ちのいい人とは、お互いの距離感が自然にわかってつき合える人です。相手を自分の都合に無理に巻きこまないし、相手を尊重して見守り、求められたときや困ったときに、そっと手を差し伸べてくれます。相手のことを大切に思っているから、「ここから先に踏みこんだら、関係がこじれやすい」という境界線をわかっているものです。
古い友人などに、自分の関わっている仕事の商品を勧められたり、なにかの組織に勧誘をされたりすると、少し複雑な気持ちになります。「自分がいいと思うものを相手に勧めたい。だってあなたのためにもぜったい、いいことだから」という気持ちはわかります。
でも、おいしいお店を薦めるのとはわけが違う。「あなたのために」と言われて、素直に受け取る人もいるけれど、「結局、そっちの利益のためでしょう」と思う人もいるはずです。安心して生きていける、心の"パーソナルスペース"ともいえる領域を保ってあげるのが、礼儀というもの。そこに人が土足でずかずかと入っていくと、心の安全を脅かされ、相手は居心地の悪さや圧迫感を覚えてしまうのです。
トラブルの原因は、この領域を侵してしまったからということが多いものです。頼ったり頼られたりするのはいいことですが、お互いに気持ちのいい範囲が大切です。
お金の貸し借りをしない。または借りてもすぐに返す。身近な人であっても勝手に引き出しやメールなどプライベートのものを見ない。相手の恋人や家族、人の生き方について意見しないなど、相手の安心できる領域を侵さないよう気をつけたいことがあります。入ってきてほしくない領域は、人それぞれ。初対面でも意気投合して近い距離になることもあれば、長い間つき合っても距離感があることもあります。
会話をしていて、「うーん......」と返答が鈍くなったり、表情が曇ったりしたら「ストップ!」という合図。さっと引っこめたり、話題を変えたりするのがお互いのため。いきなり距離を縮めるのではなく、少しずつ親しくなっていくのが、安心できるプロセスです。
ただ、相手に合わせようとしすぎて緊張したり、ギクシャクした振る舞いになっては疲れてしまいます。あまり難しく考えず、自分らしくコミュニケーションをとりながら、お互いに笑顔で話せる距離感を見つけていくといいのではないでしょうか。
信頼されるためには"正直"に
私たちは、正直な人と会うと、気持ちがいいと思うものです。「正直者はバカをみる」「バカ正直」なんて言葉があり、噓をついてでもうまく立ち回ったほうが賢く、得をしていて、正直な人は損をしているように言われます。
しかし、正直な人は、一瞬は損することがあっても、人生を通じては、かなり得をしているのではないでしょうか。なぜなら、正直な人は信頼できるため、安心して、一緒にいられるからです。人間は、無意識に、自分にとって「危険なのか、安心できるのか」を感じ取っています。
長年、保険のトップ営業をしている友人が、こんなことを言っていました。
「商品によって、相手にとってのメリットだけでなく、デメリットになる点も、正直に説明すると、相手は安心して、話を聞いてくれるようになる」
都合の悪い点は、言わなかったり、適当にごまかしたりするよりも、正直に伝えたほうが気持ちよく感じられ、信頼もできます。まさに「正直は最善の策」です。また、「ほんとう?」と勘繰ってしまう自慢話をする人や、建前しか言わない人よりも、うまくいかなかったことや、恥ずかしいことなども、本音で語ってくれる正直な人のほうが、たいてい、話が面白く、好感がもてるものです。
正直な人は、言葉と行動が一致して矛盾がないので、コミュニケーションがスムーズ。「そのままの自分でいい」というオープンな姿勢なので、堂々と人と接します。あとで噓やごまかしがバレて対人関係がギクシャクしたり、噓によるストレスを抱えたりすることもありません。噓をつかないほうが、気がラクなのです。
西洋のことわざに、「1日だけ幸せでいたいなら、床屋に行け。(中略)1か月だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ。(中略)一生幸せでいたいなら、正直でいることだ」とあります。正直な人は、良好な人間関係だけでなく、平穏な心や自尊心も手に入れられるのです。
ただし、「噓も方便」ということわざもあります。私は、人を傷つけないための噓と、あとに引きずらない噓なら、必要なときはOKということにしています。正直に伝えすぎると、人に心配をかけてしまうこともありますから。
気持ちのいい正直さとは、人と自分を信頼しているから、自然に生まれるもの。正直な人は自然体であり、肩の力が抜けているので、接する人も気持ちいいのです。








