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マーケティングを学ぶことで、どんな力が身につくのか?

グロービス

2014年01月21日 公開 2024年12月16日 更新

マーケティングを学ぶことで、どんな力が身につくのか?

そもそもマーケティングとは何か――マーケティングとは企業本位の「より儲かるために」利用される手法ではなく、顧客が何を求めているのかという「顧客第一」の手法なのである。本稿ではマーケティング誕生の背景や、現代の新しい流れに至るまでを解説する。

※本稿は、グロービス著『[実況]マーケティング教室』より一部抜粋・編集したものです。

 

マーケティングを学ぶ理由

そもそもマーケティングとは何なのでしょうか。マーケティングとは「買ってもらえる仕組み」をつくる活動と定義されます。ここでの活動とは、ご存知のように企業による営利活動を指します。

ですから予算や時間、労働力といった限られた資源を効率よく使って、「継続的に買っていただくための仕組み」をつくることがマーケティングの前提になります。

この一面だけを取り出すと、企業の自己都合だといったイメージを抱いてしまう人もいるかもしれませんが、マーケティングはあくまで「顧客に買ってもらうための仕組み」づくりであり、「企業本位による売るための仕組み」づくりではありません。

「顧客ニーズを満たし、顧客満足度を高める」ことができなければ、そもそもマーケティングは成立しないのです。そのためマーケティングを考えるに当たっては、思考の出発点を企業側ではなく、顧客側に設けなくてはなりません。

この出発点を間違ってしまうと「よい商品をつくりさえすれば、必ず売れるだろう」といった誤解が生じてしまうのです。みなさんの職場には「マーケティングなどしなくても売れる」という意見や、「従来のマーケティングでは売れない」という主張をお持ちの方はいないでしょうか。

もしかしたら、前者のような意見はたとえば営業部で優秀な成績を上げて昇進されてきた方に多いかもしれません。一方で後者のような意見は、インターネット全盛の時代に育った若手社員に多いかもしれません。

そしてどちらの意見も「マーケティング不要論」の典型をなすものですが、これらには一面の真実も含まれていると思います。マーケティングに謙虚に取り組むには無視できない意見です。しかし本当に「マーケティングはいらないもの」なのでしょうか。

 

顧客の考えに寄りそって考える

ある製品やサービスのマーケティング戦略を考えるとき、「なぜこの製品にマーケティングが必要なのか」を考えたことはあるでしょうか。前述したとおりマーケティングには予算や時間、労働力といった限られた資源を効率よく使って「買ってもらうための仕組み」をつくるという前提がありました。

この点を考えると、そもそもマーケティングをしなくてもよい状況があるのなら「マーケティングをしない」という選択肢もあるのでは、と考えることができるかもしれません。「マーケティングは必要か」について少し考えてみると、今度は新しい疑問が出てくると思います。

たとえば「この製品やサービスをいったい誰に売りたいのか?」という疑問です。さらに今度は「お客様はうちの会社や製品をどう思っているのだろうか?」といった疑問もわき出てくるでしょう。

先ほど「マーケティングの出発点は顧客側にある」といいましたが、これは特段に難しいものではなく、このように「マーケティングは必要か」を考えていけば、自然に顧客と寄り添うようになっていけるのです。

そうして顧客側の視点でマーケティングを考えていると、実は製品やサービスもマーケティングの一部であることに気がつきます。さらに顧客が製品やサービスに抱いている印象すらも、マーケティングの一部であることがわかってきます。

このように考えると「マーケティングなどしなくても売れる」でもなく、「従来のマーケティングでは売れない」でもない第三の考え方、つまり「顧客満足度を高めることで売れる」という新しい考え方が手に入ります。

言い換えれば、製品の価値とは企業が決めるものではなく、顧客が決めるもの、という気づきです。これを突き詰めていくと「顧客にどのような印象を持ってほしいのか?」を考えざるを得なくなり、製品だけでなく製品を取り囲む環境すべてに、自ずと考えが及んでいきます。

マーケティングとは、ありきたりのフレームワークに当てはめるものではなく「顧客にどのような印象や体験を受け取ってほしいのか?」という目的を出発点にして、顧客の思考や感情に寄り添うように検討されていくもの、といえるのです。

 

柔軟な視点で考えよう

マーケティングには柔軟な発想と対応が必要です。その理由のひとつとして、実際のビジネスシーンの多くでは、不測の事態がつきものだからです。そこで肝心なのは、立てた計画を変更するのか、変更しないのかを柔軟に考えられる頭脳になります。

計画を変えざるを得ないのなら、それに柔軟にスピーディに対応しなければなりません。たとえマーケティング界の著名な先生が計画したとしても、常に上手くいくことが保証されるわけではないのです。

重要なのは「なぜこのマーケティング戦略では売上がもっと伸びないのか」をいつも意識することです。それと同時に、マーケティングは変化する人の心、顧客の心理状態を対象にした学問であることも、意識しなくてはなりません。

この点が、他のMBAの科目とマーケティングとが異なる点といえます。マーケティングは顧客ありきの視点から発展してきた学問ともいえるでしょう。

ここではマーケティングがどのようにして生まれ、発展してきたのかを、みなさんとともにその必然性を追いながら確認をしていこうと思います。これによって、マーケティングがなぜ必要とされてきたのか、その本質に迫れるものと考えるからです。

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