これから伸びる仕事、消滅する仕事
2015年10月01日 公開 2023年03月31日 更新
生き残りたければ「会社名」ではなく「職業」を選べ
またこのランキングで注意する点は、企業名ではなく、あくまで、「職業」分類でランキングが作成されている点です。
企業の業態や市場の動きが変われば、企業内で仕事の需給に変化があるのですから、至極当然の話です。北米や西側欧州では、同じ企業内でも職種により報酬も待遇も変わります。
また、技能があれば、非正規雇用のコンサルタントが、正社員の管理職よりも報酬が高い、ということも珍しくありません。仕事の報酬は需要と供給で決まりますので、ランキングが職業別に作成されるのは当たり前のことです。
また、企業の倒産、合併が当たり前ですから、企業名をランキング化しても意味がないのです。転職によってキャリアアップしていくのが当たり前ですから、どこに所属するか、にも意味がありません。
日本の「仕事」ランキングは、通常企業名だけがランキングされ、まるで「企業ミシュラン」のようになっているのは、ガラパゴスな現象にすぎません。グローバルな世界では、評価されるのはあくまで働く人個人の「技能」であり、どこに所属するか、ではないのです。
グローバル化が進むと、日本にも、「職業」の受給により報酬に格差がつく時代がやってきます。
例えば、イギリスは1980年代までは日本のような終身雇用制度があり、転職やキャリアアップのための転居は大変珍しいものでした。ところが不況により経済構造が大幅に変化し、「どこに所属するか」ではなく、「個人の能力によって報酬を支払う」という自由競争型の労働市場になりました。あの頑固なイギリスでさえ、経済の停滞を打破するために、働き方が大変化したのです。
そのような大転換を遂げたイギリスは、金融業や知識産業により経済が活性化し、いまや、EU加盟国の市民だけではなく、アフリカやシリア、イラク、アフガニスタンなど、世界の様々な国から人が押しよせ、出生率は70年代以後最高を記録し、住宅や学校が足りない、という事態になっています。技能さえあれば、国籍や肌の色に関係なく稼ぐことができるので、密航してまで渡航したいシリア難民がいるのです。
日本が停滞している原因の一つは、企業の人事政策が硬直化しており、個人の能力を十分活かしきれていないことです。グローバル化するなかで生き残っていくためには、日本もイギリスが経験したような「働き方の大転換」を経験することになるでしょう。
10年後、15年後も生き残りたいのであれば、仕事は「会社名」ではなく、「職業」で選ぶべきです。「私はここに就職しました」ではなく「私はこれができます」といえるようになりたいものです。