ホーム » 仕事の心得 » May_Roma・これから伸びる仕事、消滅する仕事

May_Roma・これから伸びる仕事、消滅する仕事

2015年10月01日 公開

谷本真由美(作家、ツイッター界のご意見番)

 

生き残りたければ「自分商店」を目指せ!

――『日本人の働き方の9割がヤバい件について』著者からのメッセージ

 

仕事の未来を予測せよ

 アメリカ労働統計局 (BLS) によると、一般的なアメリカ人で仕事をしている人は、1日のうち3分の1から3分の2以上の時間を仕事、もしくは、仕事に関する活動に費やしています。睡眠時間や休息時間を考慮した場合、多くの人は、1日の半分以上か、ほとんどの時間を仕事に費やしているといえます。

 日本人よりも労働時間の少ないはずのアメリカ人ですら、こんなに多くの時間を仕事に費やしているのですから、日本人に関しては考える必要もありません。

 人生のこんなにも長い時間を費やさなければならないのが仕事です。生活の質の向上のためにも、仕事は慎重に選択するべきなのです。将来の先行きが不安定な現在においては、今日明日のことを考えるだけではなく、5年後、10年後の将来を、ある程度予測して仕事を選ぶ必要があります。

 社会の動きの予測は、一般人の生活には関係がないような気がしますが、就職、転職、家を買う、結婚など、人生の先行きを左右する決定をする時に、先を見越して考えるのと、ただ呆然と考えるのでは、その結果に大きな差が出てしまいます。

 例えば、ある地域の不動産を買う際に、その土地の将来を予測しないと痛い目にあうことがあります。高齢化して人口が減っている土地では、将来そこに住む人は減ります。自治体の税収が減ります。住民税が高騰する一方で、行政サービスは低下します。働き盛りの人は確保できないので、企業が移転してくる可能性もありません。せっかく不動産に投資しても、20年後に価値が減ってしまうのでは意味がありません。

 

人気企業ランキングは役に立たない

 仕事の未来を予測するのには、マスコミで毎年発表されるような人気企業ランキングは参考にするべきではありません。ランキングは、あくまで求職者の、主観的な「印象」を基に作成したものです。「主観」とは、すなわち「一方的な思い込み」です。

 その会社や職業が将来存在している可能性、どれだけの付加価値を得ることができるか、働く人の生活の質が向上するかどうか、その職業や組織は将来市場でどのような地位をしめるか、その組織はどんな特許を持っているか、その組織は違法行為に手を染めているか、などといった、職業や組織の未来を決めるような、「客観的な情報」を反映したものではないのです。

 その組織や職業が、雑誌やテレビで大々的に取り上げられていたかどうかも参考にはなりません。その組織は、もしかしたら、大口の広告スポンサーかもしれません。株価を釣り上げたい投資家がメディアに便宜をはかっているかもしれません。もしくは編集長や記者が、単にその組織に知り合いがいたり、その職業の人と親しいだけなのかもしれないのです。

 

人々から求められる仕事を選べ

 将来も仕事をしていきたいのであれば、需要が減る仕事、つまり、人々から求められなくなる仕事は避けなければなりません。

 例えば、40年前は、製造業で製図技師が大活躍していましたが、CADが普及するに従って、手で図形を書く仕事の需要はなくなり、その仕事は、ほぼ消滅してしまいました。当時は安定した技能職で、それなりに良い収入を得られた仕事で、まさか消滅するとは思っていない人が少なくなかったのです。

 さて、仕事の未来を予測するのには何を参考にしたら良いでしょうか? 私がおすすめしたいのは、一定期間に渡って、仕事の需要と供給や、報酬の推移を定点観測している学術研究や企業による調査です。

 例えば企業が実施した調査に関しては、「The Jobs Rated Almanac: The Best Jobs and How to Get Them」(iFocus Books)という書籍が参考になります。同書は、1988年から、仕事について、各種の評価を定点的に実施しています。アメリカにおける職業のトレンドを調査しています。報酬、ストレス、就労環境、将来性といった様々な側面から200の職業を調査し、就職するにはそんなスキルが必要か、といった就職情報も合わせて紹介しています。

 この書籍の一番面白いところは、30年近くにわたって、定点観測しているため、時代の移り変わりにより、仕事の報酬や将来性の推移がわかることです。

 データの中心はアメリカですが、しかしながら、同書が提示する変化は、決してアメリカ独自のものではありません。グローバルに起きている経済の変化ともリンクしています。

 例えば、2002年には、編集者の仕事というのは、上から数えて31 番目に良い仕事でしたが、2015年には最下位の200位になってしまいました。編集者の報酬や職業安定性の凋落というのは、決してアメリカだけの話ではなく、ヨーロッパや日本、アジアでも起こっていることです。デジタル革命とインターネットの普及により、出版業界の収益構造は悪化し、編集者の仕事がどんどん減っており、その動きはいまやグローバルなのです。

<<次ページ>>グローバリゼーションが進む中で生き残れる仕事

次のページ
グローバリゼーションが進む中で生き残れる仕事 >



著者紹介

谷本真由美(たにもと・まゆみ)

作家、コンサルタント

神奈川県生まれ。公認情報システム監査人(CISA)。シラキュース大学大学院国際関係論および情報管理学修士。ロビイスト、ITベンチャー、経営コンサルティングファーム、国連専門機関情報通信官、金融機関などを経て、情報通信サービスのコンサルティング業務に従事。専門はITガバナンス、サービスレベル管理、システム監査、オフショア開発及び運用管理、多国籍チームの管理、情報通信市場および規制調査。日本、イギリス、アメリカ、イタリアの現地組織での就労経験。現在はロンドンと日本を往復する生活。ツイッター上では、May_Roma(メイロマ)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、漫画、料理。
著書に『ノマドと社畜』(朝日出版社)、『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、共著として『添削!日本人英語』(朝日出版社)などがある。

関連記事

編集部のおすすめ

これから10年、伸びる業界・沈む業界

池上浩一(野村ホールディングス シニア・コミュニケーションズ・オフィサー)、渡邉正裕(ジャーナリスト/MyNewsJapan社長兼編集長)

大林宣彦の体験的仕事論・チャンスのつかみ方

語り:大林宣彦(映画作家)/構成:中川右介(作家)

「好きなこと」だけして生きていくには

心屋仁之助(心理カウンセラー)

わかる!労働基準法―どの程度の欠勤、目標未達でクビになる?

布施直春(羽田タートルサービス審議役)

松下幸之助の成功には「心のプロセス」があった!

ジェームス・スキナー(経営コンサルタント)
東京・京都で開催! 大杉日香理先生トークセミナー 3年先の未来を創る2020年の過ごし方

アクセスランキング

東京・京都で開催! 大杉日香理先生トークセミナー 3年先の未来を創る2020年の過ごし方
  • Facebookでシェアする
  • Twitterでシェアする

ホーム » 仕事の心得 » May_Roma・これから伸びる仕事、消滅する仕事