なぜ一流の営業マンは、「お客様とのゴルフ」を大事にするのか?
2016年10月12日 公開 2024年12月16日 更新
「お客様とのゴルフ」の魅力
ゴルフは仕事モードではないお客様を知るチャンス
ゴルフというのは、その人の「素」が出やすいスポーツです。
どういうことかというと、ゴルフをすると、なぜか必ず何らかのアクシデントが起こるのです。あり得ないミスだったり、ボールがどこかに消えてしまったり、キャディさんが不慣れな人だったり……。「何も起きないことはない」と断言してもいいくらいに、必ずアクシデントやトラブルが発生します。
そして、「何か」が起こったときには、対処しなくてはいけません。その対処の仕方に、その人の性格や考え方がよく表れるのです。
たとえば、ミスをしたときの悔しがり方から「この人は普段は寡黙だけれど、実はすごく負けず嫌いな人なんだな」といった意外な一面がわかったりします。キャディさんが不慣れな人だったときに、それを叱るのか、やさしく見守るのかといったところから、人に対するスタンスのとり方もわかります。
スコアカードのつけ方から「実は几帳面な人なんだなぁ」ということがわかったり、ゴルフ談義のちょっとしたセリフから「いつもニコニコしているけれど、本質的には厳しい人なんだな」など、仕事のお付き合いだけでは知ることのできない、お客様の「素」の部分が垣間見えたりするのです。
それらの情報は、その後の営業活動の重要なヒントになります。
どんな仕事の進め方をすれば、お客様にストレスを与えずに済むのか。どんなことに注意すれば「こいつはなかなか信頼できるヤツだな」と思っていただけるのか─。
「お客様は、本当はどんな人なのか」
そのことを知っているかどうかで、営業スタイルも、仕事の進め方も、営業成績も大きく変わってきます。
つまり、営業マンにとって必要不可欠な情報が、お客様と一緒にゴルフに行けば、自分もプレーを楽しみながら、自然に知ることができるのです。
「素の自分」ではなく「理想の自分」で
お客様とゴルフに行くと、相手が「本当はどんな人なのか」がわかるのと同時に、「自分がどんな人間なのか」も相手に知ってもらえます。
これは「よいこと」でもありますが、隠しておきたい自分の「素」の部分もすべて見抜かれてしまいますから「注意しなければいけないこと」でもあります。
でも、過剰に恐れる必要はありません。そもそも、なぜお客様はあなたをゴルフに誘ってくれたのでしょう?
「こいつは信頼できそうなヤツだけど、実際のところはどうなんだろう?」
「いいヤツそうだから、一日一緒でも大丈夫だろう」
お客様の立場に立って考えてみると、あなたに興味はあるけれど、まだ確信は得られていない。きっとそんな状態なのだと思います。
ジャッジされていると思うと、怖い感じもしますが、ほぼ丸一日を一緒に過ごす相手に、わざわざ気の合わない人間や嫌いな人間を誘うでしょうか?
そんなことは、まずあり得ないですよね。
お客様からゴルフに誘われるのは、あなたに好感を抱いてくれている証であり、さらに関係を深めようとアプローチしているサインです。
そう考えると、ゴルフに誘われるのは、すごく大きなチャンスだと思いませんか?
そのチャンスを活かして、ゴルフを通じて「素」の自分を認めてもらったときには、それまでよりもずっと強い信頼感を抱いてもらえるようになるはずです。
ただし「素」をそのまま出してしまうのは不安もありますから、私はお客様とゴルフに行くときには、自分の「理想の姿」を心がけるように努力もしています。
たとえば、ミスをしたときに悔しさのあまり「あーっ!(怒)」と大声で叫んだりする人がいるのですが、そのような言動は周りの人たちに不快感を与えてしまいます。
だから私は、すごく悔しいミスをしたときでも、できるだけ涼しい顔をして、いつも平静でいるように努めています。
すると不思議なことに「本当の自分」もだんだん変化してきて、普段の仕事でも生活でも、ちょっとしたことでイライラしなくなったりするのです。
お客様に自分のことを知ってもらえて、「理想の姿」を心がけることで「本当の自分」も成長していく。ゴルフにはそんな魅力もあります。
※本記事はPHPビジネス新書、川田修著『一流の営業マンはなぜお客様から何度もゴルフに誘われるのか』より一部を抜粋編集したものです。