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生き方

酒井雄哉大阿闍梨が語る「一日、一日を大切に生きるためにできること」

2016年11月29日 公開 2022年06月15日 更新

恋愛で困ったときには

独身を悲観しなくていいんだよ

僕のところへ訪ねてくる人たちの中には、独身で結婚できないことを悩んでいる人もいる。「これから先も、ずっとひとりかもしれない……」と思ったら、不安でたまらなくて、つらい気持ちになってしまうという声を聞くよ。

だけど、人間はひとりでは生きていけないと言われているように、普通に生活していれば、必ず誰かの力や支えを受けて生きている。日々の生活の中で、人と人との縁はあらゆる場所に存在しているのだから、きっと出会いの縁もあると思うよ。もしかしたら、近すぎてその存在に気づいていないだけかもしれないしね。だから、いたずらに縁がないとか、これから先も結婚できないとか、考えすぎないほうがいいと思うな。

縁を求めるなら、自分から積極的に行動して、新たに縁を作っていくのもいいと思うよ。自分の世界に閉じこもっていては、なかなか新しい出会いはないだろうからね。

心を楽しませることを忘れてはいけない

物事のとらえ方は努力次第で変えられるんだ。苦しいときでも、自分で楽しいほうに転換してしまえば、落ち込むこともないからね。年がら年中恋愛して、ときめいている状態だと思えば、人生で起きることはなんでも恋愛の延長に思えて、ニコニコできるようになるよ。

 

心身の健康を保ちたいときには

その年代ならではの輝きを大切にする

人間は誰でも、歳をとれば身体にガタがきて、クシャクシャになるのが当たり前。どんな美男美女でも、例外なくシワクチャになるものなんだよ。けれど、少しでも若くいたいという思いから、老化に対抗しようとすると、多大な努力が必要になるし、苦労するんだよね。

歳をとれば、あちこちひずみが出るとわかっているんだろうけど、どこかでその自然の摂理を忘れてしまって、「老化防止に効くと言われているこの高級なクリームを塗れば、お肌にハリが戻るんじゃないかしら」とか「この薬を飲めば、老化を止められるかもしれない」なんて思って、あれこれ手を出すんだと思うよ。

もちろん、努力することで結果は出るかもしれないし、それを邪魔するつもりはないけど、いくら手を尽くしても、歳をとることは止められない。努力をやめれば、その反動は必ず心身に影響を及ぼすからね。

自然の流れに逆らうのは、激流の川の流れに逆らって泳ぐようなもの。一生懸命頑張って泳いでも、最終的には溺れてしまうなら、ただただ川の流れにそってスーッと泳いでいけば、あれこれ悩まず、心も身体もラクになるんじゃないかな。

30代には30代の、40代には40代の生き方や楽しみがあるんだよ。若さに固執するより、年相応の魅力を出すことや、そのときそのときにある楽しみや輝きを見出すほうが、心身共にイキイキして、若く見えると思うよ。

命をいただいていることを忘れちゃいけない

命をいただいた以上は、それが自然に終わるまで続けていかないといけないよ。身体に障害があっても、それは命とは別のことなんだ。最近は子どもの性別まで自分の思いどおりにしようとする人もいるけど、命は授かりものなんだから、自然のままが一番いいと思うな。

※本記事は、PHP文庫、酒井雄哉著『あなたには幸せになる力がある』の一部を抜粋編集したものです。

著者紹介

酒井雄哉(さかい・ゆうさい)

比叡山飯室谷不動堂長寿院住職、天台宗大阿闍梨

1926年、大阪府生まれ。太平洋戦争時、予科練へ志願し、特攻隊基地・鹿屋にて終戦。戦後、職を転々とするがうまくいかず、比叡山へ上がり、40歳で得度。約7年かけて4万キロを歩く荒行「千日回峯行」を80年、87年に2度満行。その後も国内外各地への巡礼を行っている。
主な著書に『ムダなことなどひとつもない』(PHP研究所)『一日一生」(朝日新書)などがある。

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