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生き方

酒井雄哉大阿闍梨が語る「一日、一日を大切に生きるためにできること」

2016年11月29日 公開 2024年12月16日 更新

 

物事が停滞しているときには

一日、一日を大切に生きるためにできること

毎日をなんとなく流して生きるのがクセになっていると、「一日一日を大切にして、一日が一生のつもりで生きてみよう」と急に思ってみても、実践が伴わずに、再び日々の生活に流されてしまう人もいると思うよ。

だけど、そこで気を落とす必要はないし、無理をして「いまの瞬間を大切にしなくちゃ!」と一日中気を張らなくていいんだ。一日が一生のつもりで生きようと決めたら、まずは、毎晩日々の行いを振り返ってみるといいよ。

その日の自分の仕事ぶりや、時間の使い方などを振り返って、改善できる点を見つけられれば、明日から直すことができる。誰かとケンカしたときは、その場面を振り返り、冷静にケンカの原因を分析してみて、自分が悪ければ相手に謝ればいいし、自分に原因がなければ、いつもどおりに接していけばいい。

こうして毎晩その日を振り返って、自分自身の行いを省みることは、自分自身と向き合う時間を作り、物事を客観的に把握する力を養う。

モヤモヤした気持ちが整理されれば、いい気持ちで朝を迎えて、また新しいスタートを切ることができると思うよ。

疲れてしまって、反省どころじゃないと思う日もあるかもしれない。

けれど、不思議なもので、なんでも習慣化してしまえば、自然とできるようになるものなんだ。途中で反省するのをやめてしまったとしても、「この前は三日坊主で終わったけど、今度は四日やってみよう」と自分に言い聞かせて、またやってみるといいよ。

一歩一歩繰り返す、それが人生

一歩一歩、地道に進んでいくことが大切だとわかっていても、なかなかできない人もいるよね。だけど、人生はとにかく一歩ずつ前へ進むことを繰り返すしかないんだ。一歩ずつ地道に進んでいけば、道に迷うこともないし、間違いない人生を送ることができるんだよ。

 

自分に自信をつけたいときには

自分をよく見せようとしなくていい

自分をよく見せようとして、実力以上のことをしようとすると、物事はうまくいかないんだ。たいてい、「うまくやらなきゃいけない」と思うことで、自分を追い込んでしまったり、周りの人に気を使いすぎたりして、空回りしてしまうんだよ。

僕は昔あがり症だったから、人前で話すことが苦手だったんだ。目の前に若い女性が座っていると、照れてまともに顔を合わせられなかったし、はじめて講演をしたときなんて、舞台の袖に立ったら足はガクガクするし、口の中はカラカラになって、いざ壇上に立っても、何を話したらいいのかわからなかったよ。

いまの僕が、いろいろな講演に呼ばれて、図々しく人前でおしゃべりできるのは、自分をよく見せようとせずに、自分自身が実践して体得したことを話しているからだと思うんだ。

等身大の自分を隠して格好つけようとすれば、無理が生じて心に余裕がなくなり、疲れてしまう。それに、自分の実力を誇張してアピールしたら、「なんだか真実味がないな」と見抜く人もいると思うよ。

だから、人にいいところを見せようと頑張るのではなく、自然体の自分でいればいいんだ。周りの評価を気にせず、目の前にあることに熱中していれば、自分に自信がついてくると思うし、空回りすることや緊張することも、なくなっていくんじゃないかな。

人間も大自然の一部

空、海、山、草、木、花、動物、人間など、この世のありとあらゆるものは、大自然の大きな力によって生かされ、みんな共存しているんだ。人間も自然の一部だから、自然に逆らうと、心配したり、苦しんだりすることになってしまう。自分の中にある自然にそって生きよう。

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著者紹介

酒井雄哉(さかい・ゆうさい)

比叡山飯室谷不動堂長寿院住職、天台宗大阿闍梨

1926年、大阪府生まれ。太平洋戦争時、予科練へ志願し、特攻隊基地・鹿屋にて終戦。戦後、職を転々とするがうまくいかず、比叡山へ上がり、40歳で得度。約7年かけて4万キロを歩く荒行「千日回峯行」を80年、87年に2度満行。その後も国内外各地への巡礼を行っている。
主な著書に『ムダなことなどひとつもない』(PHP研究所)『一日一生」(朝日新書)などがある。

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