1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. リラックスだけじゃない !「心も強くする」入浴法

くらし

リラックスだけじゃない !「心も強くする」入浴法

松村浩道(江の島弁天クリニック院長)

2017年03月12日 公開 2023年09月12日 更新

 

ストレスに強くなりたいなら「熱めのお湯」で

熱めのお湯に入ると抗ストレス作用が高まるのは、「HSP(ヒートショックプロテイン)」が増加するからです。

HSPは「傷ついたタンパク質を修復するタンパク質」です。

私たちの身体は、水分を除くと、ほとんどすべてタンパク質でできています。筋肉や皮膚、神経などだけでなく、メンタルの状態を大きく左右する神経伝達物質もタンパク質でできています。

そして、そのタンパク質は日々の生活のストレスで傷つきます。それを修復してくれるのがHSPなのです。HSPは抗ストレス作用を持った物質だということです。

HSPはストレスを受けたときに誘導されるのですが、とくに熱ストレスによって大きく増えます。ですから、熱めのお湯に入ることでHSPを増やすことができ、ストレスによるさまざまな悪影響を予防することができるわけです。

具体的には、高齢者や心疾患などの持病がある人でなければ、42℃のお湯に10分間、肩までつかるといいでしょう。41℃のお湯に15分間でも、40℃のお湯に20分間でもかまいません。ポイントは深部体温を38.5℃まで上昇させることです。できれば、舌下で体温を測りましょう。

やってみるとわかりますが、この入浴法をすると、大量の汗をかきます。ですから、十分な水分補給も大事。500~750mlほどの水をペットボトルに入れて、浴室に持ちこむのがいいでしょう。冷水だと体温上昇を阻んでしまうので、常温で飲むことも大切です。

肩までつかって体温を上昇させたら、その状態を20分間保つこと。半身浴や足湯に移行したり、浴室から出るならタオルケットやバスローブで身体を包んだりしましょう。20分が経過したら、あとは自然な体温低下に任せます。

以上の「HSP入浴法」を1度すれば、個人差がありますが、2~3日間にわたってHSPが多い状態が続きます。ですから、熱いお湯に入るのは週に2~3回で大丈夫。他の日は、最初にお話しした「ぬるめのお湯にゆっくりと入る」入浴をして、副交感神経を優位にしてください。

 

次のページ
温泉の泉質はここをチェックしよう

著者紹介

松村浩道(まつむら・ひろみち)

江の島弁天クリニック院長

1966年生まれ。米国ストレス研究所日本支部代表。日本医科大学卒業。同大学附属病院麻酔科、関東逓信病院(現NTT東日本関東病院)ペインクリニック科などを経て現職。痛みの治療に携わる中で温泉医学や東洋医学、精神医療などの研究を深め、心身相関・脳腸相関を重視した全人的・包括的診療を行なっている。著書に『対人関係のイライラは医学的に9 割解消できる』(マイナビ新書)、『脳腸相関で未病を征す』(七星出版)がある。

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×