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あと5年で銀行は半分以下に? 銀行大淘汰の時代がやってくる

2017年03月17日 公開

渡邉哲也(経済評論家)

もう一つ重要なのは、いまの日本の金融機関のあり方に、日本経済のデフレ脱却を阻害している一面があると言わざるを得ないということだ。

「四半期別GDP(国内総生産)速報」などの統計を見て、民間需要が伸びないのは「企業の資金需要がない」からだとよく言われたりするが、融資が銀行の主たる業務の一つである以上、資金需要があるところを見つけるのも銀行にとって不可欠な仕事であることは言うまでもない。

にもかかわらず銀行は、融資先の開拓に対する努力は十分とは言えず、それどころか日銀の当座預金に資金を預けることで、0.1%の金利収入をノーリスクで得ている(銀行が日銀当座預金に預け入れることを義務づけられている法定準備預金額〈所要準備額〉を超える「基礎残高」部分の約210兆円に対して)。

本来、当座預金に金利はつかないので、これは形を変えた補助金と言ってよいものだが、リスクを取って融資を行わず、こうした不労所得とも呼べるような金利収入および手数料収入で、銀行が食べてきたことも事実なのである。

銀行がお金を貸さないのか、企業の資金需要がないのか─これは鶏が先か、卵が先かという話ではあるが、日銀が市場に供給する通貨量であるマネタリーベースを年間80兆円増やすという量的金融緩和政策を採っても、銀行が融資にあまり積極的には見えないことと、デフレ脱却が進まないなかで、企業の設備投資に対する意欲がなかなか高まらないことが相互作用を及ぼし、日本の発展を大きく阻害していることは間違いない。

これを危惧した日本の金融当局は、銀行が日銀当座預金に預けている資金の一部(「政策金利残高」部分と呼ばれる約21兆円分)に対してマイナス0.1%の金利をかける「マイナス金利政策」を2016年2月に実施した。

このマイナス金利政策は、銀行の政策準備残高にマイナス0.1%の金利を付与するものであり、すべての日銀当座預金にマイナス金利を適用するものではない。しかし、それでも銀行の収益モデルが成り立たず、経営を圧迫するといった批判や不平不満が噴出し、それがメディアのミスリードを助長している面がある。

ところがいまも説明したとおり、銀行が日銀の当座預金に預け入れた資金がすべてマイナス金利になっているわけではない。銀行の日銀当座預金の一部から「預かり料」を徴収するということは、「資金をこれ以上、中央銀行に預けず、銀行本来の業務である融資を行いなさい」という、金融当局による一つの示唆なのである。

また銀行の問題として、預金に対する貸出の割合を示す「預貸率」も挙げられる。国内金融機関の預貸率は低迷したままである。

銀行は、さまざまな人からお金を集めた預金を貸し出すことで利益を得ているわけだが、預貸率が下がるということは余剰資金が発生していることを意味する。預金として集めた資金が融資されていないようであれば、銀行が銀行として成立するはずもない。

そのため、本来の機能や役割を果たすことをやめた銀行を、より望ましいかたちで再起動させないかぎり、日本経済の復活は望むべくもないし、逆に日本経済全体を停滞させる要因にもなりかねない。だからこそいま、旧態依然とした銀行のあり方にメスが入ろうとしているのである。

こうしたなか注目されるのは、都道府県などの本来の営業エリアをまたぐ、地方銀行(第一地銀)および第二地銀の経営統合だ。

2016年だけでも、4月に横浜銀行(本店・神奈川県横浜市)と第二地銀の東日本銀行(本店・東京都中央区)が合併し、コンコルディア・フィナンシャルグループ(本店・東京都中央区)が設立されたのを皮切りに、めぶきフィナンシャルグループ(本店・東京都中央区/常陽銀行と足利ホールディングス〈足利銀行〉が経営統合)、トモニホールディングス(本店・香川県高松市/いずれも第二地銀である徳島銀行、香川銀行、大正銀行が経営統合)などが新たに設立されている。

2017年1月5日には、三重県四日市市に本店を置く地方銀行の三重銀行と、同松阪市の第二地方銀行である第三銀行が経営統合に向けて交渉に入ったことが、メディアで報じられた。

今後、こうした地方銀行の再編はさらに加速する。このままでいけば5年後には、地方銀行および第二地銀の数は半分以下になるだろう。

※本記事は渡邉哲也著『あと5年で銀行は半分以下になる』(PHP研究所刊)より一部を抜粋編集したものです。

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著者紹介

渡邉哲也(わたなべ・てつや)

経済評論家

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。内外の経済・政治情勢のリサーチ分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行なう。著書に、『中国壊滅』『ヤバイ中国』(以上、徳間書店)、『「瑞穂の国」の資本主義』『世界の未来は日本次第(共著)』(以上.PHP研究所)など多数。近著に『日本人が知らない世界の「お金」の流れ』(PHP研究所)がある。

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