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ビットコインの本当の評価。欧米では邪悪な存在、日本では夢の通貨

中島真志(麗澤大学教授)

2018年08月08日 公開 2018年08月20日 更新

 

ビットコインが「闇サイト」御用達の決済手段に

2つ目の問題点は、「犯罪に使われる」ということです。

有名なのが、「シルクロード事件」です。

シルクロードとは、違法薬物を販売していた「闇サイト」です。ビットコインはシルクロードにおいて、唯一の決済手段として使われていました。

シルクロードの画面を開くと、マリファナ、LSD、ヘロイン、コカインといったおぞましいものがたくさん載せられており、これらがすべてビットコイン建てで売られていました。

通常、インターネットで買い物をするときには、銀行振込やクレジットカード払いにします。しかし、こうした支払方法で違法な薬物を買うと、一発で身元がバレてしまいます。

ところが、ビットコインは高い匿名性が特徴です。どのアドレスから支払いがされたかまではわかるのですが、それが誰のアドレスなのかは分からないのです。個人を特定できないという仕組みが、違法な取引をするにはぴったりというわけです。

シルクロードが開設されたのは2011年で、FBIがサイト運営者を逮捕したのが2013年です。この2年間の売上高は驚くべきことに、約1200億円にのぼります。

これで一気に「ビットコインは違法取引に使える」というダーティなイメージがつきました。しかも、ビットコインで違法薬物を販売するという「ビジネスモデル」が、確立してしまったのです。

そのため、シルクロードが閉鎖されてからも、Hansa、AlphaBayといった闇サイトが次々に誕生しました。当局が1つを取り締まっても、また別のものが出てくるというかたちで、当局とのいたちごっこの様相を呈しています。

ここで終わっていれば「海外ではそういうこともあります」という話なのですが、最近、日本でも闇サイトとビットコインの関わりがニュースになりました。

2017年11月に、危険ドラッグ(脱法ハーブ)をインターネット販売したということで、川崎市の業者が逮捕されました。

ビットコインを支払手段として、5000人以上に10億円相当の危険ドラッグを売りさばいていたのです。このやり方は、シルクロードのビジネスモデルそのままです。

これまで危険ドラッグは、主に現物と現金との引き換えで取引されていました。すると物理的な決済手段が必要となり、そこに逮捕などのリスクがありました。

しかしビットコインなら、インターネット上で取引が完結し、しかも身元がバレない形で決済できるのです。犯罪者にしてみれば、これほど便利なものはありません。

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「ビットコインで身代金を払え」と要求するウイルス、ランサムウェア

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