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ビットコインの本当の評価。欧米では邪悪な存在、日本では夢の通貨

中島真志(麗澤大学教授)

2018年08月08日 公開 2018年08月20日 更新

 

「ビットコインで身代金を払え」と要求するウイルス、ランサムウェア

同じく、ビットコインが犯罪に使われた例として、「ランサムウェア事件」があります。2017年の5月に大騒ぎになったので、ご記憶の方も多いかもしれません。150カ国以上にウイルスがばら撒かれたのです。

ランサムウェアはマルウェアの一種で、「身代金要求型ウイルス」とも呼ばれます。

ランサムウェア入りの添付ファイルをうっかり開くと、パソコンがフリーズし、「復旧したければ身代金を払いなさい」「さもなければあなたのデータは完全に消滅します」といったメッセージが画面上に表示されます。

そして、身代金は「ビットコインで払え」というんですね。画面にはカウントダウン・タイマーがセットされていて「あと○時間以内に払わないと身代金が倍になります」と言われたりもする。刻々とタイマーの残り時間が減っていきますので、かなり焦ります。

画面上には堂々と、犯人のアドレスが表示されています。しかし、これは「犯人のものだ」ということがわかるだけで、「誰が犯人か」までは特定できません。

ビットコインの匿名性のおかげで、こういうことができるのです。本人確認がされている銀行口座で同じことをしたら、すぐに犯人が捕まるでしょう。

表示する言語が選択できるなど、非常によくできたマルウェアです。

ランサム事件以降、今、ランサムウェア業界の規模は倍々ゲームの勢いで増えているそうです。裏を返せば、この種の犯罪による被害額も倍々ゲームで増えているということです。

「ビットコインは邪悪なものだ」と海外の銀行関係者が批判するのは、こうした一連の事件に由来しているのです。

 

関連サイト:PHP総研「未来倶楽部」

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