【松井大輔】出身校へお金で恩返しも サッカー選手の移籍金事情
2018年09月12日 公開 2018年09月20日 更新
移籍金がゼロでも過去の所属クラブにお金が支払われる「育成保証金(TC)」
それ以外にも「育成補償金(トレーニング・コンペンセーション=TC)」というのがあります。ゼロ円移籍の場合でも、23歳以下の選手を獲得したクラブは、その選手が12~21歳までの間に所属したクラブにお金を払わなければいけないルールになっているのです。
真司(香川真司)がドルトムントへ移籍した際には、トランスファーフィー自体はなしでしたが、彼が17~21歳まで在籍したからセレッソ大阪は5000万円近いTCを得たという記事を目にしたことがあります。
セレッソにしてみれば、真司のような逸材を移籍させて、わずか5000万円しか得られないというのは安すぎるかもしれません。が、ゼロ円移籍でも一円も払われないよりはいいですし、最低補償があることを前向きに捉えてもいいのではないかと感じました。
ルールに照らしてみると、セレッソに入る前の12~17歳にかけて在籍したFCみやぎバルセロナもいくらかのお金を手に入れることができたと思われます。真司はいい恩返しができたと考えているのではないでしょうか。
僕自身は残念ながら母校や出身クラブにあまり恩恵をもたらすことができていませんが、自分を支えてくれたクラブや代理人などの関係者を何らかの形で潤わせることができたサッカー選手はみな嬉しいと思います。みんなが「WIN-WIN」になることが、一番の理想的なシナリオだと僕は思います。
鹿島に戻ってきたウッチー(内田篤人)も、鹿島を出てシャルケへ移籍した時、「お世話になったクラブにお金を落としたかった。それは育ててもらった選手として最低限の責任」という発言をしていたのを報道で知りました。そういう意識を持つ選手が増えてきたことは、日本サッカー界のプラスでしょう。
若い選手の方がよりビッグマネーを落とせる可能性が高いというのは事実。そういう意味でも、移籍年齢はJリーグで2~3年を過ごした20代前半がベターではないかと僕は感じます。
※本記事は、松井大輔著『日本人が海外で成功する方法』(KADOKAWA刊)より、一部を抜粋編集したものです。