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社会

ある日突然、あなたが窃盗犯に…誰にでも起こり得る「誤認逮捕」の発生原因

矢部正秋(やべまさあき/弁護士)

2018年10月23日 公開 2019年04月03日 更新

事実と意見を区別できないことで、起こる誤認逮捕

そもそも「事実」とは何か? 「意見」とは何か?
定義を見てみよう(『新明解国語辞典』第7版)。

事実「実際にあった事柄として誰もが認めなければならないこと」
意見「ある問題についての、個人の考え」

「事実」は、誰もがその出来事があったと認めること(=客観性)が必要だが、意見は個人の考え(=主観的なもの)である。事実というためには、誰もが認める証拠が必要である。

意見が説得力を持つためには、根拠(理由)が必要である。
つまり「事実には証拠が必要だし、意見には根拠が必要である」。証拠のない事実は砂上の楼閣だし、根拠のない意見は蜃気楼にすぎない。

ところが、日本人は事実と意見をはっきり区別せず、一緒くたに考える傾向がある。主観と客観の境目がはっきりしない。

だから会議などでも「自分は(客観的に)正しい」という人が結構いる。「説得力のある意見」はあるが、「正しい意見」というのは概念矛盾である。

なお、主張、解釈、評価、判断、理論、鑑定、解説、コメント、説明、所感、信念、提案、論説、思想など、要するに「個人の考え」はすべて主観的である。

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