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生き方

将来の不安が消える思考法「バックキャスティング」とは?

三坂健(株式会社HRインスティテュートシニアコンサルタント)

2018年12月28日 公開 2023年02月07日 更新

バックキャスティングで人生をワガママに構想する

さてそれでは、ここまで述べたような変化が私たちを取り巻く中、どうやってビジョンを描けばいいのでしょうか?

ここでぜひ念頭に置いて頂きたい考え方が、「フォアキャスティング」と「バックキャスティング」です。

簡単に説明すると、

・フォアキャスティング=1年後にはこれ、3年後にはこれと、その時々の現在を起点に先へ先へと目標を置く考え方
・バックキャスティング=10年後や20年後の目標をまず置き、そこに至る上で達成すべきことを現在まで逆算する考え方

と言えるでしょう。

フォアキャステングが「今」から「未来」を考える思考法である一方、バックキャスティングは「未来」から「今」を考える思考法とも言えます。

そして、このバックキャスティングにはメリットがあります。

フォアキャスティングの場合、「現在」から「未来」を考えるため、どうしても自分の手持ちの要素の範囲内で考えてしまう傾向にあります。

無意識のうちに自分で自分に枠をはめてしまうというわけです。

それが「未来」から「現在」へと逆算的に考えるバックキャスティングを用いると、今はまだ自分の手元にないものはどう調達したらよいかという考え方をするようになります。

常に目標が先にありそこから逆算してくるため、ないものは「調達する」「身につける」という発想になるのです。

そしてこれに気づくと、何よりも生活することが楽しくなります。というのも、希望に満ちた未来を実現するために今をどう生きればよいかと考えるようになるからです。

それではバックキャスティングで自分の人生を考える時、目標はどうやって置けばよいのでしょうか。

そこでは前提として「志」が必要になってきます。

「誰かのために」「世の中のために」こういうことをして役に立ちたい、貢献したいという思い、それが志です。

ビジョンは自分自身の内側に存在するものですが、志は自分の外側にあるものです。

一度、志を意識してみて、それを達成するためには「会社ではどういう状態が自分には望ましいか」とか、「副業ではこういうことができたらいいな」といった考えを持てるとよいでしょう。
 

3つの輪で考えるとビジョンが見えてくる

ビジョンを考えるにあたり、Will、Must、Canというフレームワークを用いると役に立ちます。

Will=したいこと
Must=すべきこと
Can=できること

であり、この3つが重なる領域が、自分にとって強いビジョンになる可能性が高いと言えます。

また、Will→Must→Canという順番で考えていくことも重要です。

というのも、よくやりがちではありますが、自分が今できること、つまりCanから考え始めると、今できることの範囲内でしかものを考えなくなってしまい、大胆な目標設定ができなくなるためです。

バックキャスティングではなく、フォアキャスティングになってしまうわけですね。

そうではなくWill、つまり「こういうことをしたい」「こうなってみたい」「こういう風にやってみたい」をスタート地点とし、とにかく自分らしくワガママに考えてみればいいのです。

しかし、それだけだと単なる願望で終わってしまう可能性があるため、会社や家族からの期待や人生における自分の役割といったところから導かれるMustを加えて調整をします。

最後にCanもあわせて考えるわけですが、これももし自分だけでは不可能だというのであれば、例えばできる味方を作る、外部から調達するという方向に考えてみてはいかがでしょう。

経営の神様と言われた松下幸之助さんも、若い頃は病弱で、自分でできることは非常に限られていたといいます。だからこそ、できる人に教えを請い、人の力を借り、仕事を任せていたそうです。

自分ひとりで何でもやってしまおうとすると自ずと限界がありますが、人の力を借りることができる人はその限界を乗り越え、ビジョンを達成しやすいとも言えるでしょう。

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