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将来の不安が消える思考法「バックキャスティング」とは?

三坂健(株式会社HRインスティテュートシニアコンサルタント)

2018年12月28日 公開 2024年12月16日 更新

将来の不安が消える思考法「バックキャスティング」とは?

<<「終身雇用」はもはや過去の話。しかしそれを悲観的にとらえても、何もいいことはない。「自分で物事を決められる時代」ととらえ直せば、さまざまな可能性が広がっていることがわかるだろう。

一方で、そんな時代を生き抜くためには、自分で自分を鍛え続ける必要があるのもまた事実。一見大変そうに思えるが、それも自分らしい人生を送るためとなれば、一歩を踏み出す価値もあるというもの。

「人生100年時代」を生きていく上で必要になる、願望や思いの詰まったビジョンとロードマップ。今回はその効果的な描き方を解説する。

大手企業を中心にビジネススキルを軸とした人財育成を手掛けるHRインスティテュートのコンサルタントによる連続講座「人生100年時代を生き抜くためのビジネススキル講座」より、「第2回ーー将来の不安を取り除く”自分ビジョン”の描き方②」を紹介する>>

※本稿は、2018年7月〜9月に天狼院書店「Esola池袋店」で実施された講座を基に構成されたものです
 

時代の変化をとらえる

前回、自分なりの人生のロードマップを立てる上で、「ブレない志」と「変化に即応」を両輪に考えることが重要だとお伝えしました。

今回はロードマップづくりの具体的な方法についてご紹介したいと思います。

ロードマップを考える上では、「変化」をキャッチすることが重要です。
「変化」と一言で言っても、地球レベル、国家レベル、業界レベル、企業レベル、個人レベル等々、各所でさまざまな変化が起こっています。

ですが、個人レベルの変化から先に考えるよりは、より大きな変化について先に把握するほうが認識の誤りが起こりにくくなります。しかも昨今は、大きな変化のスピードがかつてよりもはるかに増しています。結果的に個人も、好むと好まざるとに関係なく、その変化の影響を受けざるを得ません。

ということで、まずは大きな「時代の変化」を把握することからスタートしたいと思います。
 

激変しつつある日本人の仕事環境

今、日本人の仕事を取り巻く環境が大きく変化しつつあることを、実感している方も多いでしょう。

具体的にどのような変化が起きているのか、さまざまな観点から過去と未来(現在進行形を含む)を比較し、キーワードにまとめてみました。

【主要産業】
 製造業中心→サービス業中心
 高度経済成長→イノベーションが成長のカギを握る
 会社の寿命「長」→会社の寿命「短」

【雇用】
 新卒一括採用→最先端スキル保有人材の奪い合い
 終身雇用→転職、マルチジョブの一般化
 副業禁止→副業自由化
 定年は会社が決定→定年年齢を自分で選択
 定年後は社会と断絶→会社以外に複数のコミュニティに所属

【労働】
 長時間労働→個の働き方尊重
 無制限なタスク→雇用契約に基づく職務
 会社人間→会社・家庭・複数のコミュニティ
 競合との競争→時には競合と協業

【キャリア・賃金】
 会社が転勤・異動を決定→自分のキャリアは自分でデザイン
 評価者に限定された評価→360度評価
 抜擢→手挙げ
 1つの技能で生き残れる→技能の複線化・アップデートが必要
 年功序列→成果に応じた報酬

【職業訓練】
 社内業務に特化したOJT→ポータブルスキルの強化
 公的な職業訓練→生涯学習(リカレント教育)

【社会保障】
 企業年金・退職金→確定拠出型年金
 定年まで勤め上げるのが得→退職金を給与に含めて支給        

一言でまとめると、「会社が個人の生き方を決める時代」から「個が自立して物事を決めやすい時代」に、今後ますます変わっていくと言えます。

しかしこれは裏を返せば、「個人が“自分の責任において”物事を選択しなければならない時代」とも言えるのです。

会社がその人のキャリアを決める(決めてくれる)時代から、例えばマルチジョブ(副業・複業)が当たり前、退職金制度も柔軟化の方向へといった時代に変わっていきます。

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多様な属性の人と連携する「他流試合」を乗り切るスキルが必要

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