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鹿児島発のM&A巧者 「インフラ関連事業の複合企業体」が成長し続ける理由

松﨑秀雄(インフラテック株式会社代表取締役社長)、松﨑慎太郎(同副社長)

2019年01月31日 公開 2019年02月26日 更新

モノづくり改革⇒アメーバ経営⇒フィロソフィ教育

インフラテック

――以上のようなたゆまぬご努力の積み重ねを踏まえ、M&Aによってグループの経営力は上がりましたか?

松﨑社長 おかげさまで、グループの売上は170億円から285億円に増やすことができました。そして経常利益率は6%です。ただ、稲盛名誉会長がおっしゃる10%には、残念ながらまだ届いていません。

じつはコンクリート二次製品メーカーの業界では、平均すると経常利益率が1%から2%ほどの会社が多いのです。ジャスダックに上場している同業者を参考に上げると、売上が160億円ほどで経常利益は3億円ほどですから。

――業界の水準で考えると3倍の利益率をあげているのはすごいですね。その秘訣は何ですか?

松﨑社長 やはり、アメーバ経営やフィロソフィ教育の効果は大きいと思います。その一方で、アメーバ経営を導入する前の2003年~04年にかけて、日本能率協会コンサルティング(JMAC)から、生産革新、モノづくり改革の指導を受けたことも大きかったですね。

そこでは「見込み生産から受注生産へ」のモノづくりのシステム刷新を徹底的にやりました。需要予測の見誤りによる廃棄ロスをできる限り減らすため、極力在庫を持たず、受注生産型で「即納体制」を築く形に変えようとしました。

そのために、製造プロセスの見直しを大幅に行い、細かく無駄を省いていくことで、そうとう足腰を鍛えて頂きました。結果、収益力が高まったのです。

――スタートはモノづくり改革から。そのあとでアメーバ経営とフィロソフィ教育ですか。

松﨑社長 モノづくり改革が軌道に乗ったあと、2005年からアメーバ経営に取り組み、計数管理をさらに徹底させていきます。さらに、フィロソフィ教育を行いながら、社員の考え方のベクトルを合わせていったのです。つまり、3つの段階を踏んでいったということですね。

このようなプロセスを経て、経営強化を図ろうとする会社は、盛和塾の中にもあまりありません。そこが他の企業にない、わが社の強みを生むベースになっていることは確かです。

――最後に、さらに経営力を上げる戦略をお聞かせください。

松﨑社長 売上に関していうと、グループ全体では500億円が射程圏内で、次の目標は1000億円です。その段階では、コンクリート二次製品メーカーから事業領域を広げ、奥行きを持たせて「インフラ関連事業の複合企業体」を目指していきます。経営理念に基づき、あらゆるインフラパーツを創造し、人々に感動と満足を提供していきたいのです。

今後はインフラ整備を行う場合、コンクリート二次製品ではなく、プラスチック素材による製品を使うケースも出てくるでしょう。

そこで、例えば、プラスチック素材製造メーカーのM&Aなども視野に入れていきたい。また、新たに道路や建築物をつくる需要は増えないでしょうが、高度経済成長期などにつくった既存の道路・建築物のメンテナンスが大きな仕事になってくる時代です。そこで、維持補修サービスを担う会社のM&Aも意識しています。

このように、「インフラ関連事業の複合企業体」として社会に役立つ存在になれるよう、M&Aを戦略的に行いながら、さらなる成長を遂げていきたいと考えています。

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