自分で考え行動する教員 やまた幼稚園 国際バカロレアへの挑戦
2018年12月25日 公開 2019年01月22日 更新
<<栗原学園グループは、1969年に個人立の幼稚園として神奈川県横浜市港北区に開園した「やまた幼稚園」が源流です。その後、1979年に学校法人栗原学園を設立。さらに2002年、社会福祉法人都筑福祉会を設立し、幼稚園敷地内に「やまた保育園」を併設させ、幼稚園と保育園を同時に運営するようになります。そして2015年、公立保育園の民営化の流れのなかで、川崎市から引き継ぎ、幸区で「ひよし保育園」を運営しています。
谷澤満理事長は2011年、先代園長の急逝で生じた園の混乱を収拾するため、理事長に就任。弁護士として培った事業再生のノウハウを生かし、栗原学園グループを生まれ変わらせてきました。今回は、谷澤理事長に「教育産業の進化とアメーバ経営」というテーマでお話を伺います。>>
幼稚園、保育園、プリスクール……幼児向けの総合教育グループ
――栗原学園はグループとして、かなり多角的な展開をされているようですね。
(谷澤)これまでのところは全て幼児の教育ないし教育にかかわる事業ですので、主観的にはあまり多角的な展開とは思っておりません。中核となってきたのは「やまた幼稚園」です。
この幼稚園には約50年の歴史があります。神奈川県横浜市都筑区にある港北ニュータウンの開発に合わせ、入園者数はうなぎのぼりに増え、一番多いときで500人近い子供がいたようです。
先代園長の「行き場がない子をつくらない」という強い信念で、どんどん子供を受け入れていました。
しかし10年ほど前、流入人口の急増がひと段落し、幼稚園も2年保育から3年保育が主流になる変化に直面します。それに伴い2年保育が主体であった「やまた幼稚園」の園児数は減り、380人ほどにまで落ち込みました。
そこで私の理事長就任後、「2年保育から3、4年保育」へ移行し、設備投資や教育の質を上げる施策を実施し、450人にまで回復させることができました。
――幼稚園だけでなく、保育園事業にも進出されていると聞きました。
(谷澤)「幼稚園から保育園へ」の流れのなかで横浜市からの強い要請を受け、「やまた幼稚園」の敷地内に保育園を作ることになったのです。「やまた保育園」には現在、69名の園児が通っています。
当初は「やまた幼稚園」とは別の組織として作りましたが、教職員を相互に人事交流させ、幼稚園の月次の指導計画の会議や研修を合同で行ったり、双方の良さを活かせるようにしております。
さらに保育園事業については、「公立民営化」という時代の流れを受け、近隣自治体の事業者募集に参加し、川崎市の「日吉保育園」の運営を引き継ぐことになりました。さらに現在、同じ川崎市の「南河原」というエリアで、公立保育園の引き継ぎを進め、新園舎を設計しています。
今後は横浜市と川崎市で、デベロッパーが再開発を行うエリアでテナントとして保育園を開園していくことも検討しています。
保育園は地域によっては「公立」が中心でしたが、「公を担うのは官のみならず」の精神で新しい担い手となっていくことが求められています。こういった「社会的使命」のもと、親御さんに、安心と満足を提供できるはずです。
また、幼児教育として少し毛色の違うところでは、出身の法律事務所の紹介で、東京の池袋で幼児向けの「プリスクール」の運営を引継ぎました。こちらは使用言語は英語をメインにしていますが、日本語で保育を行う日も設けています。
結果的にインターナショナルスクールのみならず、雙葉学園、学習院、立教など、いわゆる名門私立小学校など両構えの進学実績を残しています。この学校は比較的高所得の家庭向けで、昨年卒園した子供は3人でしたが、2017年度の入園者は20人まで増えました。