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揉んでも治らない“肩こり・腰痛”も「正しく歩く」だけで改善する!

山﨑美歩呼(日本姿勢改善ウォーキング協会代表理事)

2019年03月21日 公開 2023年10月23日 更新

 

猫背は内臓にも負担をかける

 頭は5キロくらいの重さがありますが、猫背になると頭の位置が自然に前に出てくるので、頭を支える首・背中の負担は倍以上になると言われています。

 パソコンやスマホのしすぎによるストレートネックもそうですが、首・背中に負担がかかり、背中側の筋肉がガチガチに硬くなっている状態下では、想像以上に血流やリンパの流れが滞ります。

 また、首は脳と体の末端までを繋ぐ神経が通っているところなので、その首に負荷がかかり続けると、ひどい場合には、頭痛・吐き気・視力低下などといった症状も引き起こします。

 猫背だと肋骨も圧迫しますから、本来、より上にあるべき内臓の位置が低下してしまいます。そして、骨盤の中に収まっている内臓が、上から降りてきた臓器に圧迫されて、動きが悪くなります。癒着することもあります。

 第二の脳とも言われる腸も圧迫されて動きが鈍くなり、便秘になりますし、腸内で9割以上生成されるという幸せホルモンセロトニンの分泌も悪くなり、メンタル面にまで影響を及ぼします。自律神経の乱れにも関係していることがイメージしていただけると思います。

 

肩こりや腰痛は揉んでも治らない

 体全体の筋肉の使い方を変え、筋肉を固めない習慣で猫背を解消して、血液やリンパの循環のよい体を作れば、肩こり・腰痛をはじめとした、すべての体の不調を改善することができます。

 肩こりや腰痛を放っておくと、すべての流れを妨げ、病気の原因になるとはわかっていても、病気とは診断されないため、それで会社を休むとは言えないのが辛いところです。なんとか改善させようと、凝っている患部を揉んだり叩いたりしがちですが、それでは何も解決しません。肩こりや腰痛の部位を揉んだり叩いたりすると、一瞬はすっきりしますが、時間が経つとまた同じ痛みが戻ってきます。

 肩こり・腰痛の痛みは、血液やリンパの流れを改善しないと、根本的な解決ができないのです。では、どうやったら流れるようになるのでしょうか?

 答えは、体中の筋肉をまんべんなく動かし、滞りをなくすことです。重要なのは、ただ筋トレをして体を動かすのではなく、体全体の筋肉をバランス良く動かすことです。

 課題は、今動かせていない筋肉を目覚めさせること。全身の筋肉をまんべんなく動かすためには、ジムで多数の器具を使って鍛えることが必要……と思いますか? ジムで運動している時間と日常で歩いている時間とでは、どちらのほうが長いでしょうか(ジムでサウナに入っている時間は入れないでくださいね。笑)。日常で歩いている時間のほうがうんと長いですよね。ですから、歩き方を見直すだけで、使う筋肉が増え、移動中に筋トレをする習慣が身につくのです。ある意味、時短にもなるからこそ、歩き方に注目していただきたいのです。

 そして、できることなら、1日何歩といった形で歩数だけを目標にして歩くのではなく、関節に負担をかけない、質の良い、正しい歩き方をすることをお勧めします。

 

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日常の動きを変えよう

著者紹介

山﨑美歩呼(やまさき・みほこ)

〔一社〕日本姿勢改善ウォーキング協会代表理事

1965年、山口県生まれ。比治山女子短期大学卒業後、結婚・出産を経て、2011年からウォーキングの研究開始。15年、〔一社〕日本姿勢改善ウォーキング協会立ち上げ。
http://walking-fukuoka.com

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