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第一印象は1秒で決まる! 初対面を制する「見た目」の作り方

佐藤綾子(ハリウッド大学院大学教授)

2019年05月21日 公開 2023年09月05日 更新

 

15m先からでも姿勢を見られている

では、最初の1秒間で第一印象を良くするには、どうすればいいのでしょうか。

外で待ち合わせをしているときや、長い廊下で出迎えを受けたときなどに気をつけてほしいのが、姿勢です。

人は、「背筋がちゃんと伸びていて元気が良さそうだな」とか「背中を丸めてトボトボと歩いていて、自信がなさそうだ」というように、相手の姿勢や歩き方によって、第一印象を大きく変えます。しかも、15mぐらい離れた距離からでも、姿勢や歩き方はわかります。

「姿勢に気をつけるのは、相手に近づいてからでいいや」と考えるのは大間違い。あなたが相手に意識を向けるずっと前から、相手はあなたを見ています。

当たり前のことですが、背筋はしっかりと伸ばして歩くようにしましょう。背筋を伸ばすには筋力が必要です。筋力がないと、重い頭を支え切れなくなり、頭部が前にだらしなく出る姿勢になります。そうならないためには、日頃から腹筋や背筋を鍛えておくことも大事です。

また、歩幅も重要です。人は、落ち込んでいるときや体調が悪いとき、人に会いたくないときには、歩幅が狭くなります。だから、相手に好印象を抱かせたいなら、少し広めの歩幅で歩く必要があります。

私がかつて大学生を対象に行なった計測では、男性は60cm、女性は55cmの歩幅で歩くと、元気に見えました。これぐらいの歩幅を目安に歩きたいものです。

 

人と会う前に表情筋の準備運動をしよう

相手との距離が5~6mにまで近づくと、今度は、相手はあなたの表情に意識を向けます。表情から、「優しそうな人か、怖そうな人か」「信頼できそうか、頼りなさそうか」「自分に好意を抱いているか、警戒しているか」などを読み取るのです。

このとき、一番避けなくてはいけないのが、無表情です。「自信がない人」や「やる気がない人」と見なされます。

無表情の人は、目に力がなく、焦点も定まっていません。また、目以外の表情筋の動きが止まっています。

こうならないためには、まず、上まぶたの筋肉「上眼瞼挙筋」に力を入れ、上まぶたを強く引き上げ、目を大きく見開きます。そして、「あなたに会えて嬉しいです」という気持ちを目に込めます。すると、口の両サイドにある表情筋の一つである「口角挙筋」も一緒に2cmほど上がり、とても自然な笑顔になります。

面白いのは、こちらが笑顔で相手に接すると、相手も無意識のうちに笑顔になり、場の雰囲気が良くなることです。

これは、ミラーニューロンという脳内の神経細胞の働きによるものです。

ミラーニューロンは、他者の行動を見たときに、その行動を自分がしたときと同じように活性化します。例えば、誰かがご飯を食べている姿を見たときに、自分もご飯を食べているかのように反応するわけです。

ですから、こちらが嬉しそうな表情や楽しそうな表情を相手に向ければ、相手のミラーニューロンが活性化して、相手も嬉しい気分や楽しい気分になり、自然と笑顔になります。

すると、相手の笑顔を見て、今度は自分のミラーニューロンが活性化し、こちらもさらに笑顔になります。笑顔の相乗効果が起きるわけです。

逆に、固い表情で相手に接すると、相手の表情や気分もどんどん固くなっていきますから、要注意です。

とはいえ、笑顔で接することが大事であることはわかっていても、人見知りが激しい人やあがり症の人は、表情が固くなりがちです。そんな人には、相手に会う前に「表情の準備運動」をしておくことをお勧めします。

例えば、初対面の相手と大事な商談をしなくてはいけないときは、誰でも緊張するものです。そんなときは、相手先の会社があるビルの中に入ったら、まずトイレに飛び込みます。そして、誰も見ていないところで、顔にある表情筋を思いっきりギュッと収縮させ、今度は逆にパッと大きく広げましょう。これを繰り返すうちに、表情筋が動きやすくなり、豊かな表情を作ることができるようになります。

緊張すると顔が能面のようになってしまいがちな人は、ぜひ試してみてください。

 

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著者紹介

佐藤綾子(さとう・あやこ)

ハリウッド大学院大学教授/博士(パフォーマンス学・心理学)

1947年、長野県生まれ。69年、信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学部修士課程、上智大学大学院博士課程修了。日本におけるパフォーマンス学の第一人者。日本大学芸術学部教授を経て現職。社会人セミナー『佐藤綾子のパフォーマンス学講座®』主宰。『自分をどう表現するか』(講談社現代新書)、『できる大人の「見た目」と「話し方」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

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