橋下徹「失敗の不安が消える、シンプルな考えかた」
2019年05月03日 公開 2023年07月12日 更新
絶対的に正しい答えなんて見つからないもの
僕の場合は、トップとして決める立場にいましたが、課長や係長の職にある人も、それぞれの立場で似たような状況だと思います。部下の人たちが悩んで決められなかったことが自分のところにあがってきます。それを判断するのが上司の仕事です。
全部に絶対的に正しい解を出さなければいけないと思うと、プレッシャーに押しつぶされてしまうかもしれません。「悩み抜いても正解が分からないことは、割り箸になった気分で決めよう」と思えば、気持ちもラクになると思います。
成熟した民主主義社会においては、失敗しても命まで取られることはありません。僕は知事・市長時代に大阪都構想を打ち出して、最終的に住民投票で否決されました。
住民投票は熾烈な戦いでした。大阪都構想は大阪市役所を解体するわけですから、大阪市議会議員や市職員にとっては死活問題。大阪市議会議員は全員クビになりますからね。
市役所の補助金もどうなるか分かりません。市役所から補助金をもらっていた各種団体は不安にかられます。彼ら彼女らは是が非でも大阪市役所を死守したいので、大阪都構想には猛反対します。まさに幕藩体制を守る側と、それを打ち壊す側の戦いです。
世が世なら、殺し合いになっていたでしょう。ですが、民主主義社会ですから、弓矢も鉄砲の弾も飛び交わず、せいぜい、僕に対する誹謗中傷のビラが撒かれたくらいです。
僕はその戦いに負けました。戦国時代なら僕は打ち首。僕だけでなく、家族も打ち首です。でも、そんなことにはならず、僕はこうしてピンピン生きています。むしろ失敗した方が経済的にもラクになりました(笑)。
失敗しても命まで取られることはないのですから、「絶対に失敗しちゃいけない」などと考えないほうがいい。絶対的に正しい解なんて、そう簡単に見つかりません。
リーダーは決めなければならない立場ですから、「正解が分からなくても決める」「どうしても迷ったら最後は割り箸になった気分で決める」というふうに考えておけばいいと思います。