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掃除と清掃は別物…世界一清潔な空港のカリスマ清掃員の”プロ意識”

新津春子(にいつ はるこ)

2019年07月01日 公開 2021年07月29日 更新

 

やさしい気持ちがよい清掃につながる

ただ、いまではこんな偉そうなことを言っていますが、若い頃の私の清掃は「ただがむしゃら」なものでした。

羽田空港で働き始めた当時は、体力があり、清掃のいろいろな現場を経験していたことで、清掃技術に関してはある程度の自信があったのです。そのため、汚れを落として、きれいになっていれば、それで十分だと思っていました。

それだけではダメだと気付いたのは、ずっと後のことです。

自己満足に終わらず、心をこめて清掃すること。
目に見えない部分も含め、使う人の立場になって考えること。

清掃になにより肝心な「心」について気づかせてくださったのは、いまは亡きかつての上司、鈴木優(まさる)さんです。

鈴木さんは、男性中心だったセクションに私を採用してくださった恩人であり、彼がいなかったら生きていけなかったほど恩のある方です。

会社のお金でさまざまな研修に行かせていただき、ビルクリーニング技能士の国家資格も取得させていただきました。

でも、羽田空港で働きはじめた当時の私は、清掃にいちばん大切なことがわかっていなかったのです。

鈴木さんは言葉数の少ない無口な方でしたが、あるとき、
「あなたの清掃には、やさしさが足りない」
と指摘されました。その衝撃は今でも忘れません。

私が本当の意味で、清掃のプロの道を歩み始めたのは、その言葉がきっかけだったのです。

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