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「あまりに理不尽」 氷河期世代を積極採用する成長企業の“思い”

2019年08月14日 公開

中村朱美(佰食屋:ひゃくしょくや)

 

労働者市場の最前線から撤退した

「大企業に優秀な人材が集まるのは、それだけの資金力とブランド力があるから」「IPO(新規株式公開)すれば、優良企業としての認知が高まり、優秀な人材を獲得できるはず」。

そう考える経営者も多いでしょう。

けれども、そもそも考え直さなければならないのは、「優秀な人材」という漠然とした言葉を使っていること自体です。

「優秀な人材」って、会社の目指す方向や価値観によって当然違ってくるものじゃないですか。それをいかに適切に定義して、明確にできるかどうかは、労働者人口が不足するこれからの世の中において、とても重要なことです。

佰食屋にとって「いい人」つまり「優秀な人材」とは、真面目に業務に取り組める人、人にやさしくできる人、地道な仕事をおろそかにせず丁寧にできる人のことです。

リーダーシップがある人、コミュニケーション力が高い人、自らアイデアを出し率先して仕事を生み出せる人……そんな人材は希少価値も高く、取り合いになるのは当たり前です。しかも、どんな企業でも活躍できる能力があるからこそ、少しでもいまより良い条件で働ける会社があれば、彼らはすぐに辞めてしまいます。

そんな「労働者市場最前線」に身を置きつづけて、投資しつづけられるだけの体力がどれだけの企業にあるのでしょうか。

佰食屋は売上増も多店舗展開も捨てました。ですから、佰食屋にとって、労働者市場最前線にいる彼らは「優秀な人材」ではないのです。

 

「誰かいい人はいないのか?」の前に「うちはいい会社なのか?」と考える

最前線から少し視線をずらすと、まだまだたくさん「いい人」は隠れています。

これまでの経歴は大したことないかもしれない。家族を優先せざるを得ないから、体力があるわけではないから、働ける時間は短いかもしれない。
けれども、そんな人たちと向き合い、無理なく働ける環境と条件を「まず会社側が」整えれば、彼らは本来持っていた能力を発揮してくれるようになるのです。

毎日、佰食屋という名に恥じることなく、100食を売り切ってくれます。「お金をごまかそう」なんて悪い知恵を働かせる人もいません。みんなお店をしっかりと守り、なにかあればすぐに相談して、真摯に仕事に取り組んでくれる立派な人ばかりです。

わたしが講演活動や広報活動に忙しく、全国を飛び回るようになっても、昨日も今日も明日も、変わらず佰食屋を開店し続けてくれているのは、従業員たちです。そして、これからの佰食屋を担ってくれるような人材も育ちつつあります。

「誰かいい人はいないのか?」とふと口をついて出たとき、経営者は「どこかにいい会社はないのか?」という問いに、自分自身が胸を張って答えられる環境を用意できているか、考える必要があるのでしょう。

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