<<京都で注目を集めるステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)。
ランチのみの国産牛ステーキ丼専門店。どんなに売れても、店名の通り1日100食限定。営業はわずか3時間半。
このお店で働きたいという希望者が後を立たない。なぜなら、佰食屋は驚くほどのホワイト企業なのである。売り切れれば営業は終了なので、結果的に飲食店なのに残業ゼロ。ところが従業員の給料は、百貨店並みだという。
そんな「ホワイト企業」の運営を実現している代表の中村朱美さんは著書『売上を、減らそう。』にて、その奇跡の”ビジネスモデル”を明かしている。本稿では同書よりその一節を紹介する。>>
※本稿は中村朱美著『売上を、減らそう。たどりついたのは業績至上主義からの解放』(ライツ社刊)より一部抜粋・編集したものです
「売上至上主義からの解放」よりやさしい働き方へ
佰食屋の経営目標は、「1日100食」のみ。
「そんなにうまくいくわけがない?」果たしてそうでしょうか。そもそもいまの時代、中長期経営計画を立てたとして、いったいどれほどの企業がそれを達成できるのでしょうか。
少子高齢化で日本の労働力人口は減りつづけ、可処分所得は減り、景気動向が上がろうが下がろうが、庶民の暮らしは苦しいばかり。そんな状況で、「前年対比増」を目指しつづけること自体ナンセンスだと思いませんか?
自社努力でシェアを伸ばしつづければ、「不可能」とは言いきれないでしょう。けれどもこの多様性の時代、人によって好みも異なり、その好みすらすぐに変化し、選択肢は増えつづけています。「右肩上がり」のグラフなんて、もはや幻想です。
佰食屋は、右肩上がりの成長を求めません。
中長期的に、「○年に○店舗を出店し、年商○億円を目指します」といった目標は絶対に掲げません。
そして、従業員にも個別の目標はありません。「社員一人ひとりにKPI(重要業績評価指標)を設定する」といったアドバイスも聞きますが、佰食屋にはKPIなんていりません。
なぜなら、「お客様からお褒めの声を○件もらう」「1日○枚ビラを撒く」などと数値目標化すると、それを達成することが「会社のため」「経営者(上長)に評価してもらうため」になってしまい、「もっと頑張って、売上を上げなければ」という意識になってしまうからです。
わたしは経営者として、従業員みんなに、「もっと売上を上げなければ」というマインドから解放されてほしい、と思っています。
会社や経営者のご機嫌とりをするのではなく、もっと楽しく働けるようになるため、お客様に喜んでいただくために、できることに取り組んでもらいたいのです。
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売上を目標にしない企業は社員になにを課しているのか?