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実験心理学が示す3つの間違いと「本当に効果的な勉強法」

竹内龍人(日本女子大学教授)

2019年08月16日 公開 2023年09月05日 更新

実験心理学が示す3つの間違いと「本当に効果的な勉強法」

世の中には様々な勉強法が出回っている。しかし、そのほとんどは個人の経験に基づくもので、科学的な裏づけがないものが多い。そこで、実験心理学者である竹内龍人氏に、科学的に示された、常識とはちょっと違う事実を紹介していただいた。

 

「40~50代になると頭の能力が低下する」わけではない

「若い頃と比べると、記憶力や理解力が下がり、言葉がすぐ出てこなくなった。今から資格の勉強を始めるのはキツいのではないか……」。40~50代の読者の中には、そう思っている人もいるかもしれません。

しかし、それは思い込みです。人間の知能はある一定の年齢になると低下するというものではないからです。

知能には、大きく分けて「流動性知能」と「結晶性知能」の二つがあります。流動性知能は、推理力や直感力といった、いわば問題解決のための知能。結晶性知能は、理解力や言語能力など、過去に習得した知識や経験が元になった知能です。

流動性知能は20歳頃にピークを迎えたあと、徐々に低下していくのですが、実は、そのスピードは緩やか。60歳頃まで維持されます。つまり、問題解決力は意外と下がらないのです。

さらに、語学力などの結晶性知能に至っては、60歳前後がピークで、それまで上がり続けます。物覚えが悪くなったように感じるのは、若いときより覚えなければいけないことが増えたからにすぎません。

30代はもちろん、40~50代で資格の勉強を始めるのは、まったく手遅れではないと言えるでしょう。

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「長時間、集中して勉強したほうがいい」わけではない

著者紹介

竹内龍人(たけうち・たつと)

日本女子大学教授

1964年生まれ。京都大学文学部心理学専攻卒業。東京大学大学院、カリフォルニア大学バークレー校心理学部、日本電信電話〔株〕(コミュニケーション科学基礎研究所)を経て、日本女子大学人間社会学部心理学科教授。認知心理学の研究に取り組む。著書に『進化する勉強法』(誠文堂新光社)がある。

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