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なりたい自分を実現する「課題解決力」

稲垣一郎(株式会社HRインスティテュート取締役・シニアコンサルタント)

2019年09月24日 公開 2022年07月22日 更新

 

「問題」と「課題」は異なるもの

もう一方の垂直・直線的アプローチにおいては、「目標・ゴール・ありたい姿」と「現状」との差分(ギャップ)を解決すべき問題と捉え、その差分を埋めるための施策を考えます。

アメリカの政治学者・経営学者のハーバート・サイモンによって提唱された考え方がもとになっていますが、抽象度が高くさまざまなケースに当てはめることができるため、ビジネスの現場でも頻繁に利用されるポピュラーな手法となっています。

企業の経営戦略を考えるレベルから、組織・チームのレベルにも個人のレベルにも柔軟に適用できる使い勝手のよさを備えています。

このアプローチについて説明する前に、「問題」と「課題」という単語を明確に使い分けて頂きたいという点を強調しておきたいと思います。
普段の生活の中では、このふたつの語をそこまで明確に分けて考えてはいないかもしれません。

しかし、真剣に目の前の課題を解決したいと考えるのであれば、「問題」と「課題」は定義の上で明確に区別しなければなりません。一言で言えば、

・問題とは、困っている現象・事柄(Problem)である
・課題とは、解決すべきテーマ(Issue)である

ということです。

課題解決は基本的に、「問題発見→原因探索→課題形成→解決策の設定・実行」というプロセスをたどります。

つまり、「問題を洗い出して、その中から最も取り組むべきコトを課題化する」と言い換えることができます

課題とは、未来に向かって取り組むべき内容を表現するものなのです。

 

本当の原因(真因)を深掘りする

では、この垂直・直線的アプローチを使って課題解決を進めてみましょう。

問題=ありたい姿と現状とのギャップを認識できたら、なぜその事象が発生しているのか原因を分析します。

ここで重要なのは、一見「原因らしいもの」を見つけたからといって満足せず、そこからさらに「なぜ?」と問いを繰り返すことで深掘りし、真因(本質的な原因)が何なのかを明らかにすることです。

原因の深掘りができていない段階で、その先の「課題形成」に進んでしまった場合、本来対処すべき真因とは異なる要因に対処することになってしまいます。

これでは、正しい課題形成も解決策の策定も難しくなるのは明らかですよね。

もちろん簡単なことではないですが、真因を妥協なく探ることが、その後のプロセスの質を左右すると言えるでしょう。

さて、しっかりと深掘りし本質的な原因を把握できたら、そこからは未来に向かってやっていくべき課題(◯◯◯の構築、◯◯◯の向上、◯◯◯の策定など)を設定し、それを解決に導く具体的な施策、対策を決めていくというのがその後の流れです。

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課題解決プロセスで犯しやすいミス

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