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社会

医者や大企業の役員も…館山ダルク代表が明かす「薬物依存者」の“実際”

十枝晃太郎(館山ダルク代表)

2019年11月08日 公開 2022年06月30日 更新

 

心を回復するプログラム…過去の記憶に決着をつけることで悪循環を断ち切る

館山ダルクでは、こうした外的要因を恨まず、恐れず、自分の中にある後悔、罪悪感と向き合い、心を回復させるプログラムとして、アメリカのアルコール依存症者向けに行っているプログラムを取り入れています。

「人を恨んだり恐れたりしないようにするにはどうしたらいいか」を学ぶために、具体的には、人を恨んでしまう心理的なメカニズムを少しずつ学びつつ、自分の中の問題に向き合うために何時間もかけてみんなで話し合い、ミーティングで分かち合います。

恨むのは相手の問題ではなく自分の心の動きなのです。自分が自分の心を操り、依存を抜け出すためには、心をコントロールする訓練が必要になるのです。

特に、入所している時期は自分自身に自信がなく、家庭環境や他者の問題にすり替えたり、必要以上に恐れて踏み出したりできないという問題が根底にあります。

ですからプログラムでは、生きる上で本能的な恐れは必要なのですが過剰になる必要はないこと、恐れていて何もできずに損をすることが多いことなどを気づくようにします。

また、こうしたミーティングは罪悪感から薬物に手を出すという悪循環を断ち切るためにも役立ちます。今まで生きてきた中で、小さい頃からずっと後悔していること、迷惑をかけたと思った人を書き出し、1人1人に実際に埋め合わせに行くんです。

学生時代反抗した先生や思わず殴ってしまった友人にアポを取って、相手が忘れてようが許してくれなかろうが謝りに行く。正直苦行です。でもそうやって、少しずつ人生の埋め合わせをしていくのです。

「覚えている」迷惑行為が罪悪感を生んでいるので、罪悪感のあった行為一つ一つに決着をつけていくのです。

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