新しい挑戦を前にしたときの不安や、人間関係にまつわる悩み。できることなら、そうしたマイナスの感情は抱きたくない――誰もがそう思うものです。
しかし井上裕之さんは、悩みを抱えることこそが人を成長させると語ります。さらに、不安などのネガティブな感情も、正しい対処法を身につけることで乗り越えられるものだといいます。本記事では、書籍『選ばれる人の100の習慣』をもとに、その考え方を紹介します。
※本稿は、井上裕之著『選ばれる人の100の習慣』(日経BP)より一部抜粋・編集したものです。
不安を放置しない
「この仕事、不安」「自信がないからうまくできる気がしない」。
そんな思いが頭をよぎったとき、どうしていますか? 「迷惑をかけないように引き受けないでおこう」、そう思うこともあるかもしれません。
しかし、不安は向き合い方を身につければ、解消できます。
まず、自分が感じている「不安」の正体を見極めます。知識が足りないからか、経験がないからか、それとも失敗を恐れているからなのか......。原因を明確にすれば、不安は"漠然とした感情"ではなく、"対処すべき課題"になります。
多くの人が感じる不安は、「何をどこまですればいいか」の範囲がわからないことです。たとえば、「初めてのことが不安」なのは、「準備が不十分で先が見えていない」ことがほとんどです。裏を返せば、「自分がやるべき準備」として明確にできるものです。
「初めてのプレゼンが不安」と思ったとします。そんなときは、本で学ぶ、上司に相談する、などあらゆる方法を駆使すると、不安がどんどん小さくなっていきます。「知らないから不安」「できないから不安」ではなく、「知らないままでいるから不安」「何もやらないから不安」なのです。
不安を不安のまま放置しておくと、不安に向き合って対処している人と数年後に圧倒的な差がついてしまいます。信頼の差、実力の差、そして人生の差がつきます。
不安になったら、次のステップを参考に対処してみてください。
【不安に対処する4つのステップ】
①自分が抱えている不安をすべて書き出す
②それぞれの不安の原因を見極める
③本やネットを使って対処方法を探し、解決する
④対処方法が見つからないものは先輩や専門家などに相談する
不安を感じることは、悪いことではありません。
むしろ、そこには成長のヒントがあります。大切なのは、「不安を放置しない」ことです。向き合って解決することで、自分の価値がひとつ上がると捉えましょう。
悩みを「人間力」の糧にする
多くの人が日々何かに悩んでいます。当たり前ですが悩むことは楽しいものではなく、できれば悩みのない人生を送りたいものです。
しかし、私は、悩みは人としての厚みと深さ、つまり人間力を育ててくれるものだと捉えて、悩みが発生したら喜んで向き合うようにしています。
悩みがあるのは、成長したいと思っている証拠です。逆に、「悩みは特にありません」という人は、感覚が鈍くなっていたり、自分に無関心だったりする場合もあります。悩みを持てる人のほうが、前に進んでいけるのです。
大切なのは、「なぜこんな気持ちになったのか」「自分の何が反応しているのか」を丁寧に探ること。表面的なポジティブ思考でごまかすのではなく、きちんと悩みの中身を咀嚼し、自分の内面を整理することで人間力が深まっていきます。
たとえば、人間関係で問題があったとき、相手とは簡単に向き合えない場合でも、自分とは向き合えます。
「なぜ、相手は私が言ったことを受け止められなかったのだろう」「なぜ自分はそれに強く反応したのか」「もしかして、自分の言い方にも何かあったのか」「もしかしたら、自分の言っていることは正しくなかったのかも」と粘り強く向き合っていきます。
その向き合う時間が、人間力を厚く、深く育ててくれます。
人間としての深さは、黙っていても周囲の人に伝わります。
目の動き、話し方、言葉の重みなど、そのすべてに「この人は、ちゃんと自分と向き合ってきた人だ」という経験がしみ込んでいきます。
人間としての深さは、時間を重ねるほどに魅力的になり、それは見た目にも反映されていきます。
そして、悩みに真正面から取り組んだ人は、他人にも優しくなれます。
自分の弱さを知っているからこそ、相手の痛みにも想像が及ぶ。その包容力が、さらに人としての信頼につながっていきます。
悩みと真剣に向き合い、それを課題として乗り越えようとする人は、自分の人間力を深め、結果的に「かっこよさ」を身につけていくのです。







