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「上司に叱られて育った人」が、同じように若手を叱って起こる悲劇

成田直人(ジャパンブルーコンサルティング株式会社代表取締役)

2020年05月14日 公開 2022年06月02日 更新

 

「顧客を怒らせた理由は○○だね」と特定し全員で根絶しよう

クライアントからもよく相談を受けるのが「部下のクレームに対する意識が低い」ということです。それも部下自身の責任でクレームになったという100%潔く認めたそぶりはするわりには、クレームが減らないというのです。

クレームを根絶するために、マネジャーとしてやらなければいけないことがあります。それは前項の同じミスを犯すことと似ていて原因を根絶することです。しかし、対顧客になると話は少し変わるのでしっかりとご説明していきたいと思います。

顧客のクレームは組織的なミスであることが多いです。

多くのマネジャーは、個人のミスのせいでクレームが起こったと言います。
例えば、「問題が大きくなったから私に相談を持ちかけてきた。なぜもっと早く言わないんだ!」という大クレームになる前に相談してくれれば、こんな事態にはならなかったというケースです。

これは個人のミスだけではないと、私は思っています。

社内で完結するミスは個人の改善により再発防止すれば良いのですが、対顧客になると個人ではなく組織的なミスになります。問題は○○(クレームを起こす部下)だと思っていたらいつまでも顧客へのクレームは減らないでしょう。

なぜなら、一番の問題はあなたにあるからです。

クレームの原因はマネジャーにあります。これはクレーム再発防止研修で必ず話すことなのですが、マネジャーは「忙しい」「やることがたくさんある」「いちいち構っていられない」という理由で部下へのフォローアップがおろそかになります。

そうすると部下は、相談したいことがあっても「どうせ自分で考えろと言われそうだな……」と忙しいマネジャーを見て解釈し、相談することを諦めます。

「なぜもっと早く言わないんだ」というのは、いつでも声をかけられる環境を作ってからいうべき台詞ではないでしょうか。

クレームになる事案というのはマネジャーとのミスコミュニケーションから生まれます。そのため、日頃から部下と密にコミュニケーションをとり、良い人間関係を構築しているかどうかが、クレームの発生率に大きく影響します。

クレーム再発防止研修で、「普段から話はしています」とコミュニケーションの量は問題ないと主張されるマネジャーも、「部下が相談しやすい良い人間関係を作っていますか?」と聞くと苦虫をかみつぶしたような顔をします。

コミュニケーションをとっていても、当たり障りのない言葉のやりとりだったり、問題を伝えたら感情的になって怒られるのではないかと思われたりしていると、「それなら自分でなんとか解決しよう」と部下は考えるのです。結果的に自分では手がつけられない状況になりマネジャーの耳にトラブルとなり伝わるのです。

クレームが発生するのは組織内の人間関係、具体的にはあなたと部下の人間関係に問題がある場合が多いということです。

クレーム発生は誰も得することがありません。あなたもイライラするし、部下も心的ストレスを抱えます。できれば避けたいのがクレームです。

クレームを根絶するためにも人間関係を見直しましょう。忙しいからと言っておろそかにするとよけい忙しさが増すのがクレーム対応ですから。

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