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「新庄と亀山だけが心の支えだった」編集者の ”野球愛”が隠せなかった広告コピーの本



2020年08月29日 公開

大塚啓志郎(ライツ社代表)

大塚啓志郎(ライツ社代表)

広告、宣伝に欠かせないのがキャッチコピー。無数のキャッチコピーが生み出されていくなか、誰しもがそれぞれ心に残ったキャッチコピーがひとつ、ふたつはあるかもしれない。

そんなキャッチコピーに焦点を当てた書籍『毎日読みたい365日の広告コピー』が話題を呼んでいる。「気になるキャッチコピーを集めてみたら、名言集になった」をコンセプトに、無数のキャッチコピーが並んだ書籍だ。

しかしこの本を通して読んで見ると、なぜか「野球」にかかわる広告コピーが多く掲載されている。なかにはバッティングセンターのキャッチコピーまで。担当編集者であるライツ社の大塚啓志郎さんに、その真意をたずねた。

 

苦しかった社会人生活を支えてくれたのが広告コピー

広告コピーって、ある商品や企業の魅力を伝えるために考えられたものです。でもその中には、ただ消費を促すための言葉ではなく、わたしたちの人生に気づきや希望を与えてくれる言葉がたくさんあります。

それに気づいたのは、僕が社会人になってたしか2年目、つまりいちばん仕事がしんどい時期のことでした。

「見事なサクラであればあるほど、長い冬の時間、耐えてきたことを思うのでした。」

という広告コピーを目にしたんです。あの有名な、JR東海の「そうだ京都、行こう。」のコピーです。

その言葉をどこかで見かけて、そのとき僕はちょうど京都に住んでいたんですが、鴨川沿いに咲く桜の見え方が変わったんですよね。で、「もうすこし頑張ってみるか」と背筋を伸ばしたことを覚えています。

それからずっと、広告コピーの本を専門書ではなく、読み物としてつくりたいと思っていたんですね。だって、こんなに素敵な言葉であるにもかかわらず、そのほとんどはある一定期間にしか掲載されないんです。しかも、見ることができるのは、広告が掲載された場所だけ。

なら、そんな広告コピーの数々を一冊の本にして、いつでもどこでも、暮らしに身近な名言集として毎日読んでもらうことができたら、忙しい日々の中に、大切なことを思い出せる時間がすこしでも増えるかもしれない。そんなことを思って、『毎日読みたい365日の広告コピー』をつくらせていただきました。

発売してみると当初から想像以上の売れ行きで。実は、この本2017年に出版したものなんですが、先日、日本テレビの「シューイチ」という番組で芸人のカズレーザーさんに「推しの一冊」として偶然ご紹介いただいて、再注目され、14刷6万7千部を越えました。

 

「野球」の広告コピーが増えてしまったのは兵庫県育ちだから?

たしかに、本を読んだ方から「野球のキャッチコピーが目立つ」との感想が届きます。僕の地元は甲子園のある兵庫県の明石市です。なので、物心ついたときから阪神ファンでした。

しかも、新庄・亀山だけが唯一の希望だった暗黒時代。ちなみに生まれたのは1986年3月。つまり阪神が日本一になったシーズンです。

特に「野球のコピーを集めよう」と意識したわけではなかったのですが、僕にとって野球というスポーツが特別な存在だったので、この本にもその意識が反映されてしまったのかもしれません。

この本にはバッティングセンターのキャッチコピーも掲載されています。実は、この本で唯一の知人が考えたキャッチコピーなんですよ。仕事でしんどくなったとき、いつも力をもらえるコピーです。

野球を見て、心を震わされ、勇気をもらう。それは野球のキャッチコピーを読んでも同じです。働くって、つらいことのほうが多いように思う毎日ですが、日常のふとした瞬間で、もう一度顔を上げてもらうきっかけになるような言葉を選ばせてもらいました。

僕自身も編集者として奮闘の日々を送るなか、プロ野球選手が打席に立ってホームランを打つために、バッティングセンターで何万本もスイングしているのと同じように、完成品としての本を読んでもらうために、どれだけでも推敲を重ねる。

自分との戦いという点では、野球も本をつくるという仕事もとても似ていると思いますし、それって、つまりどんな職種の仕事でも同じで、だからこそ、このコピーに心を動かされる人が多いんだと思います。

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心を震わせるバッティングセンターのキャッチコピー >



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