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「無理をするな」が親父の遺言だった



2020年11月17日 公開

養老孟司(解剖学者),伊集院光(タレント)

養老孟司氏、伊集院光氏
(写真:Shu Tokonami)

いまの日本の世間では、スパルタ教育は問題視されてしまう。しかし、落語の世界を経験しているお笑いタレント・伊集院光は「僕は楽をすることは悪いこと」という価値観から抜け出せないという。

一方解剖学者の養老孟司は「僕が本当に嫌いなのは、『自分は我慢したから、おまえも我慢しろ』という考え」と述べ、価値観とは自分でつくるものだと説く。

※本稿は、養老孟司,伊集院光(著)『世間とズレちゃうのはしょうがない』より内容を一部抜粋・編集したものです。

 

僕らが受けてきた洗脳

【伊集院】僕らは「楽をすることは悪いこと」とずっと洗脳されてきた感があって、そこから抜けられないんです。

今、スパルタ教育が問題になるじゃないですか。僕は落語の世界でかばん持ちをやって、ずっと厳しくされてきて、結果生き残っているから、厳しくされることと成功体験が切り離せないんです。

「あのとき師匠が厳しくしてくれたおかげで今生きていけている」なんて思う。だから苦しくないと僕はちょっと不安になるんですよね。同世代は「立派なこと言ってら」と思うかもしれませんが、このせいで、次の世代への接し方に困り果てているんです。

「厳しくしてくれてありがたい」の時代はもう完全に終わりましたね。そういう言動はすべてパワハラの対象となるし、テレビでそれをやれば見ていても笑えないことになってなくなりました。

僕らが若手のころは、先輩が出す無理難題を後輩がクリアしていくというエンターテインメントがあって、たとえばヒッチハイクだけで世界を旅するという無謀な番組なんかも人気でしたが、今なら抗議の嵐でしょう。

パワハラが社会問題になったスポーツの世界の指導者たちは、「あのときは先生を恨みましたが、先生に厳しく指導してもらったおかげで、こんなに根性がつきました」という人たちじゃないですか。

スパルタ方式の成功者しか指導者になっていないなかで、これからどうやっていけばいいんでしょう。

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もう若手への「無茶振り」で笑いをとるのはダメですね >



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