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その悩み、“10年後”の自分にとっても重要?…専門家が教えるストレスを溜めない「思考法」

小林弘幸(順天堂大学医学部教授/日本体育協会公認スポーツドクター)

2020年11月21日 公開 2022年12月07日 更新

 

その悩みは、10年後の自分にとっても重要?

人は生きている限り、何かに悩むものです。悩みも、自分でコントロールできるかどうかで、結果がまったく違っていきます。何かに悩んだり、迷ったりすることがあったら、あなたは誰に相談しますか。

私は、10年後の自分だったら「この悩みは、必要なことだろうか?」と問います。今の自分に大変に感じることも、10年後の自分にはたいした問題ではなくなっていることが多々あります。

10年後の自分にとって重要であれば、今、悩むことに意味もあるでしょう。でも、そうでないなら、その悩みは人生に必要のないストレスと分かります。

その最たるものが、人間関係の悩みです。

現代に生きる私たちのストレスの9割は、対人関係から起こってきます。対人関係は、想定外のことばかりです。他人の言動を想定することなどできないからです。想定外のことや自分でコントロールできないことに、人はストレスを感じることが多くなります。

先日、私立の有名幼稚園に通っている子のお母さんから相談を受けました。内容は母親同士の人間関係です。ママたちの間に序列ができ、それを乱すものは水面下で攻撃されます。その影響は、子どもにまで及ぶのです。

「わが子の成長と将来のためにと通わせた幼稚園だったはずなのに」と、お母さんはとても悩んでいました。

その話を聞いていて、私も昔の自分を思い出しました。職場は、序列を厳しく重んじられる世界です。若いころの私は、いかに上司に目をつけられず、でも周囲に埋もれないようにと、気を張り詰めて日々を過ごしていました。

それがどれほどばかげたことかと分かっていても、この世界で生き抜くには、自分を押し殺す必要もあるのだと、自分に言い聞かせていました。

でも、本当にそうだったのか、と今は思います。

10年が過ぎれば、周りの人間関係はすっかり変わります。気の合う人とのつきあいは続いていても、そうでない人とは連絡をとりあうことすらなくなります。後輩をいじめていたような先輩も、もう職場にはいません。

濃密な人間関係のなかで、数十年も生きてきた私には分かります。人間関係の悩みのほとんどは、10年後につきあいのない人との不和で起こってくるものです。それは、あなたの人生にプラスにならない人です。

自分にマイナスの影響しか与えてこない、そんな人のために、体力も精神力も時間も浪費してしまうのが、人間関係の悩みです。その悩みに時間をかけているぶん、輝くような楽しい時間など大切なことが、削られていくのです。

あなたを悩ませるその人と、10年後もつきあいがあるのかどうか、10年後の自分にならば分かるでしょう。

もし、「10年後もつきあっていたい」と思う相手でないならば、その人のために体力や精神力や時間を費やすのは無駄なことです。無駄と分かっていることに悩んで、自律神経を乱してしまうことほどもったいないことがあるでしょうか。

私も、そんなもったいない時間を多く過ごしました。過ぎた時間の貴重さは、10年後の未来になってようやくわります。でも、10年後の自分に尋ねれば、その答えは今すぐに見えてくるのです。

 

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