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社会

「じっくり考える人」「すぐに動く人」… 研究者が調査した“どちらが幸せになれるか?”

堀田秀吾(明治大学教授)

2020年12月12日 公開 2024年12月16日 更新

 

人間が集中できる時間は金魚以下

集中力を高めることによって、考える時間を短縮する方法もあります。マイクロソフトの研究によると、インターネットの発達などによって情報が爆発的に増えている今、人間の集中が持続するのは、なんと8秒だということです。

これは、金魚よりも短いそうです……。8秒では仕事になりませんから、集中力を高める方法をいくつかご紹介しましょう。1つ目は、集中して行ないたい作業と関係のないことをすること。

例えば、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の有賀氏とレラス氏の研究では、短い休憩を取るよりも、今やっている作業と関係ない作業を挟むようにすると、いったん脳がリセットされて効率が上がるし、作業のことも記憶に残りやすくなることが明らかになりました。

2つ目は、子猫や子犬の写真を眺めること(広島大学の入戸野氏の研究)。3つ目は、日本でも話題になった「マインドフルネス」。グーグルなどでも導入されている、「今」に集中する方法です。

「なかなか作業に取りかかれない」という人は、余計なことを考えずに、「とりあえずやってみる」ことをお勧めします。一生懸命やり始めると、勝手に「今」に集中できることが多く、次第に集中状態に入っていけるものです。

 

人生を豊かにするには、ネガティブな経験も大切

色々な研究の結果をご紹介してきましたが、私が一番お伝えしたいのは、正しい判断をしよう、失敗をしないようにしようなどと過度に考えすぎるのではなく、すべてを前向きに捉えたほうが、人生という時間を豊かに使えるのではないかということです。

ネガティブなことも含めた様々な経験を通して、より多くの感情を味わったほうが、精神衛生的にもよく、幸福度も高い――。これは、ポンペウ・ファブラ大学のクオイドバック氏らによる研究結果です。

ずっとハッピーであることだけが幸せだというわけではなく、つらいことも悲しいことも、全部ひっくるめて、自分の人生だと受け入れることが、何よりも大切な生き方なのではないでしょうか。

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