内向的な人と外交的な人…研究者が調査した「どちらが幸せになれるか?」
2020年02月27日 公開 2023年01月11日 更新
最近発表されたアメリカ・ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授による人生の幸福度と年齢の関係についての調査では、人生における幸福度が最も低い年齢は、先進国で47.2歳。発展途上国で48.2歳であると発表され、日本でも多く報道されました。
同教授は仕事や家庭といった幸福に関するデータを世界132か国から約50万人のデータを集め、その分析を行いました。その結果、幸福を感じる人の数は年齢とともに下がり、U字型カーブを描き、中年で最も下がり、その後はまた年齢の増加とともに幸福を感じやすくなっていくことが判明しました。
内閣府「平成21年度国民生活選好度調査」 国民の幸福感の現状内「年齢別に見た個人の幸福感」では、どの程度幸せかを 10 段階評価(「とても幸せ」を 10 点、「とても不幸」を0点)で表しています。それによると「とても幸せ」と回答した年齢層で多かったのは70歳~79歳でした。
48.2歳のいわゆる「ミドルエイジ・クライシス」で底を打ってから幸せを感じるまでには20年以上の月日が必要のようです。
「幸せの正体」を研究し続けた、英国の心理学博士であるダニエル・ネトル氏の著書'Happiness: The Science Behind Your Smile'の邦訳版は長らく絶版で入手が難しい状態ととなっていましたが、2020年1月に『幸福の意外な正体』と改題の上、復刊されました。本稿では、幸福度の自己評価と健康の関係について考察した一節を紹介します。
※本稿は『幸福の意外な正体 私たちはなぜ「幸せ」を求めるのか』(ダニエル・ネトル 著、金森重樹 監訳、山岡万里子 訳)より一部抜粋・編集したものです。
幸福度の自己評価と健康の関係
最もはっきりしているのは、幸福度の自己評価と健康の関係です。
ある修道女の集団を対象とした、アメリカの調査があります。
最初に修道請願を立てるときに書く自伝的な文章から、まずシスターたちがどの程度ポジティブな感情を表現しているかを評価します。それから彼女たちの平均余命を調べます。
これはとても自然な調査のよい例です。なぜなら、修道女というのはみな似たような食生活、行動様式、結婚・出産歴を持つからです。
調査の結果、自伝文の中でよりポジティブな感情を表現していた、上から25パーセントのグループのうち9割が、85歳になっても健在でした。
逆にポジティブな感情表現に乏しかった25パーセントは、85歳まで生きた人が34パーセントしかいませんでした。
ポジティブな感情志向が心身の健康につながることを示す研究は多くありますが、この調査結果もその好例だといえます。
しかも、ある一時点における二つの変数の関わりを示すばかりでなく、人生のある段階における幸福度が、何年ものちの相対的な健康状態や、病気やケガの回復時間などを予測する、変数になっているというのです。
もちろん相関があるからといって、それがすなわち因果関係を示すものではなく、幸福感が、病気に負けない健康な体をつくり出すと証明しているわけではありません。
それでも、外向的な人ほど幸せを感じやすいことは事実です。
ほかの調査でも似たようなパターンが報告されていて、ちょうど神経質な人のパターンと好対照をなしています。ということは、外向的な人はポジティブな感情を多く持つ一方で、ネガティブな感情を持つことも、ほかの人と同様たくさんあるということです。
いつもほがらかで社交的な人にも、他人と同じように人生の悩みや苦しみが襲う瞬間があるのだといえば、少しは気休めになるでしょうか。
外向的な人のほうが幸福感を抱きやすいのは、結果として強い快感が得られる行動をとりやすいからでしょう。
あなたの身近にいる外向的な人はおそらく、内向的な人に比べ、結婚やパーティーや友達とのつき合いやセックスを、より頻繁に経験しているはずです。性格上、与えられた状況から最大限の利益を得るような行動をとろうとするのです。つまり、質問した際にポジティブな感情状態にある場合が多い。
自己評価の幸福度がひときわ高い人は、神経質評点が低い外向的な人です。一人で過ごすことが少ないので、誰かとつき合って帰宅したばかりという可能性が高いのです。
というわけで、繰り返しになりますが、外向的であればあるほど得だといえます。