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SDGsは本当に正義なのか?…「満月のGHEE」開発者に聞く、エシカル消費の今



2021年08月23日 公開

翠川裕美(KATALOKooo代表)

中原寛法

今やどのテレビ・雑誌・新聞・SNSなどのメディアを見ても、単語として聞かない日はない"SDGs"。

SDGsとは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)のことを指しており、持続可能でよりよい世界を目指ざして2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟国である193か国が2016年から2030年の15年間で達成する目標として掲げられたものです。

日本でもSDGsの達成に貢献するべく、大企業を中心に企業として取り組むケースも増えてきてはいるが、実際には組織改変や物流過程の抜本的な見直しなど、従来のビジネスモデルを変える必要があり、事業の成長と両立させながら目標を達成することは容易ではない。

大企業ほどの体力がなくとも、SDGsの達成に実際に取り組んでいる企業はどのような問題に向き合い、対処しているのか?

本取材では小売向けWebサービスKATALOKoooを展開する翠川裕美氏を聞き手とし、「SDGs、実際にやってみるとどうなの?」を連載テーマとして、クリエイティブファーム nD 代表でgiftee共同創業者でもある中原寛法氏にその取り組みの実態を伺った。〈取材・文:遠山怜〉

 

牛と人との幸福な関係を目指して

【翠川】中原さんは現在、クリエイティブファーム nD代表としてデザイン業をこなし、カジュアルギフトサービスgifteeの共同創業者で、エシカル食品でもある「満月のGHEE(ギー)」の開発にも携わっていると聞きます。どういった取り組みをされているのでしょうか。

【中原】岡山県の真庭市という場所で酪農家さんと牛2頭を飼い、広い場所で自由に放牧させることでストレスのない環境で育て、その牛さんの生乳からつくったギー(食用に用いるバターオイルの一種)を販売しています。

ギー自体は目新らしく感じる食品かもしれませんが、聖徳太子が活躍した6世紀ごろに仏教とともに日本に伝来していたとも言われていて、仏典にも掲載されているぐらい歴史のある食べ物です。牛乳が当時は超・希少だったので、それをさらに加工したギーはさらに貴重なものとして扱われていたようです。

 

乳製品が安く手に入るカラクリ

【翠川】牛がストレスのない環境で育つとはどう言うことですか?

【中原】酪農は日本では明治時代以降、西洋化が伴うに連れ本格的に始まったのですが、乳製品の需要が増えるに従い、大量生産化・大規模化に向かってきたと言う経緯があります。ミルクを大量に搾乳し、スーパーに卸し、食卓に安定的に牛乳を届ける。

こうした安定した消費構造には、まず限られた狭い場所で数多くの牛を育てる必要があります。牛たちは休むことなく狭くて快適ではない場所で搾乳される。それは人に当てはめて考えれば、ストレスフルな生活だと考えられるでしょう。

しかし一方、法的な制限がかけられている実態もあります。乳製品は乳頭省令という成分規格・製造規定が設けられていて、牛乳を作るなら一施設、バターを作るならもう一施設、と製造箇所を小分けにしなくてはいけません。

大規模な設備投資が必要になる上、なおかつ店頭では安く売られて価格を抑えられてしまう。その生産・利益構造の中でコストを回収するためにも大量生産になりやすいのです。

乳製品という食品製造業は、本来は牛を幸福な環境で育てるには不向きです。

しかし、そこを元々「牛をもっと自由な環境で育ててあげたい」という気持ちを抱いていた酪農家さんとタッグを組み、スーパーなどの一般流通ではなく僕たちが得意としていた自社のウェブサイトでネット販売する仕組みと連動させることで、いま、事業として取り組んでいます。

【翠川】そうした事業を始めたきっかけはなんだったんですか?

【中原】ギーを作ろうというのは、妻のアイデアがスタートだったんです。妻は妊娠・出産を経て体調を崩していて、体力回復のためにずっと輸入したギーを食べていました。

で、体にも良いものだとわかりました。輸入しているだけではなくて、自分たちで作って見たらどうなのかという彼女のアイデアがきっかけです。スタートは妻のアイデアでしたが、僕たちも一から酪農や食品製造について学んで、県や地元、たくさんの酪農家さんの協力も仰ぎつつ形にして行きました。

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