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巨額で買収されたインスタグラム...急成長を背に退任した「創業者の苦悩」

2021年10月06日 公開

大賀康史(フライヤーCEO)

 

フェイスブックに10億ドルで買収される

インスタグラムはリリース後わずか2年もたたずに、ユーザ数が3000万人を超えていきました。その頃、ツイッターからの買収提案がインスタグラムに舞い込んできました。買収金額は5億ドルから7億ドル。創業間もないスタートアップには破格の金額提示でした。

同時期に著名な投資家から5000万ドルの投資を受けます。そしてザッカーバーグから、その資金調達ラウンドの評価額の倍を出して買収したいという連絡を受けました。

シストロムの背中を押したのは、フェイスブックという潜在的な競合がなくなり、その強大なインフラを使えることに加え、インスタグラムの独立性が保証されていることだったそうです。

わずか社員13人の会社だったインスタグラムが、約10億ドルという破格の金額で買収されるという歴史的な合意でした。

 

感性と数字、独立性とガバナンス

フェイスブックによる買収後、一部門の責任者として動き始めたシストロムを悩ましたのは、インスタグラムとフェイスブックの文化の違いでした。感性やユーザ体験を重視するインスタグラムと、数字にこだわり成長を追求するフェイスブック。独立性を重んじるシストロムと、フェイスブックが主役であり続けたいと願うザッカーバーグという構図でした。

本から少し離れ、経営者が向き合う世界について考えてみます。シストロムとザッカーバーグの個人間にも、様々な連携や対立があったことは本書でも記載されています。ただ、その周りにはインスタグラムやフェイスブックに携わる社員という世界が現実として存在します。

アクティブユーザ数の伸びがゆるやかになり、成熟したフェイスブックというサービスにキャリアを捧げる立場から見たインスタグラムの存在は、複雑な感情を呼び起こすものだったように思います。

インスタグラムが体験を重視してユーザから支持を得ていくことは、フェイスブックのインフラなどの技術力なくしては成し遂げられないという自負もあったはずです。

さらに、収益の多くを稼ぎ出すフェイスブックから見れば、インスタグラムが伸び伸びと運営されている様子は、生ぬるく映ったことでしょう。プライドゆえの複雑さがあり、どちらの組織にも難しい力学が働いたはずです。

外部の成果よりも社内に意識が向けられると、内紛が生じやすくなります。すでに社会から叩かれることが多くなったフェイスブック社員の不満の先として、インスタグラムが受け皿になりやすい状況でした。

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両者の"成功の定義"のすれ違い >

著者紹介

フライヤー(flier)

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