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子どもが「トウモコロシ」と言い間違える納得の理由

石川幹人(明治大学教授)

2021年10月21日 公開 2022年06月07日 更新

 

「トウモコロシ」は「殺し」が原因

「コロシ」が「殺し」という意味を持つ印象的な言葉であることも、影響しているでしょう。かなり幼い子どもでも「殺し」は知っています。

「コロシ」という音が単語としてひとかたまりで記憶されていると、「ロコシ」という意味のない音の列よりも、印象的な「コロシ」が作業記憶に浮かびあがって、入れ替わってしまうのです。

また「トウモロコシ」の「ロ」と「コ」の発音が似ていること、「おかたづけ」の「か」と「た」や、「メガネ」の「メ」と「ネ」も同様に発音が似ていることも、混同の原因になっています。

確かに、三つの音ならば、他の言葉と混ざりやすいので、順番を厳しくする意義があります。しかし、五つや六つの音の順番は多少変わっても他の言葉と混ざりにくいので、順番を厳しくする意義はあまりないのです。

 

言い間違えは気にする必要はない

だから、「トウモコロシ」や「おたかづけ」と言う子どもがいても、意味がわかるのであれば、「何それ!」などと、わざわざ指摘するほどのことではない、と私は考えます。

最後に一点、最近こんな体験がありました。静岡県の浜名湖周辺のうなぎ屋さんに入ってメニューを見たら、「ひつまぶし」と書いてありました。

「"暇つぶし"ってどんな料理かなぁ」と思わずつぶやいたら、笑われました。名古屋周辺ではよく知られた料理だったのですね。5文字でも順番が変わって混同が起きた例でした。

 

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