「落ちこぼれ会社員」が退職して見つけた、自分だけの居場所
2021年11月09日 公開
環境しだいで「苦手なこと」も強みになる
たとえば、今の職場内でプレゼンのスキルが最も高く、自分でもプレゼンを武器としているAさんがいたとしましょう。
さて、Aさんはプレゼンを絶対的な強みとして、転職でステップアップを試みます。無事に転職先が決まり、意気揚々と出社すると、職場にはプレゼンの達人がごろごろいました─。
こうなると、Aさんの強みの価値は一気に低下します。とてもではないですが、大きな声で「私の強みはプレゼンスキルです!」とはいえなくなるはずです。
もちろん逆のケースもありえます。エンジニアとして戦力外の扱いを受けた僕が、裏方に回って職場のパソコンを設定していたというエピソードをお話ししました。もちろん、パソコンの設定は誰かがやらなければならない必要な仕事です。けれども「自分にしかできない仕事か」と問われたら全然違います。実際には誰もができる仕事です。
パソコンのセットアップは、専門性とは遠くかけ離れています。だから「パソコンのセットアップ」と「強み」が結びつくなんて夢にも思いません。
ところが、です。会社を退職して外の世界に出てみたら、僕よりはるかにITに疎く、パソコンのセットアップをしてあげるだけで涙を流すくらいに喜んでくれる人がたくさんいたのです。そして、実際にパソコンのセットアップをするだけでお金をいただくことができたのです!
会社ではITの落ちこぼれだった僕が、社外に出たら「ITの天才」みたいにいわれる。この経験は衝撃的であり、大きな発見でした。繰り返しますが、「得意なこと」「苦手なこと」は環境しだいでびっくりするくらいに変化します。
ですから、環境を変えるだけで信じられないくらいに輝く人だって存在するのです。
今の環境での強みは絶対的なものではなく、環境が変われば弱みになる可能性があります。そして、今の環境での弱みが強みに変わりうることだってあります。
先ほどの例とは反対に、プレゼンスキルが弱みだと感じている人もいるかもしれません。しかし、職場によっては、あなたのスキルで十分に戦える可能性もあります。そうなると、もうあなたにとってプレゼンスキルは弱みではなくなるはずです。
要するに、不安定極まりない「1つの強み」にしがみつく必要など、これっぽっちもありません。それより大事なのは、その場で必要とされる価値を提供することです。
専門性がなくても、その場その場で相手に求められている価値を提供していれば、成果も出るし自分だけの居場所も確保できるのです。